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内田篤人のコーチ姿を見てよみがえった14年前の記憶 「U-19日本代表の仲間は本当に大切な存在」
posted2020/09/17 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
内田篤人がU-19日本代表に帰ってきた――。
9月14日からJFA夢フィールドで3日間行われたU-19日本代表候補合宿。先月、現役引退を発表した内田は“ロールモデルコーチ”という肩書きで、若き日本代表たちの指導にあたった。
日本代表のスタッフジャージを身につけ、初々しさが残る有望株たちを見守りながら、練習の片付けやボール拾いなどサポートに徹した。アドバイスを受ける選手たちの表情を見ると、ロールモデルコーチという新設された役職の重要性を改めて感じる。
「足りない。もっと集中して」
新型コロナウイルス感染症拡大の余波を受け、U-20W杯の出場権を懸けたAFC U-19選手権の開催は来年初旬へと延期されている。とはいえ、U-19日本代表にとっては、世界への挑戦権を得るための重要な時期であることに変わりはない。そんな状況下で内田は自分の立ち位置を意識しながら、精力的に動き回った。
初日の午前練習はJリーグ出場組が不在の中、トレーニングに混ざってボールを蹴った。午後に行われたミーティングでは「足りない。もっと集中して、1個1個の練習を大切にしないといけない」と空気を引き締め、2日目の午後はパスコントロールのグループを任されると、「逆回転をかけて強く」など自ら模範を示すシーンも見受けられた。ディフェンス役を買って出たり、3日目の紅白戦ではラインズマンをこなすなど、献身的な姿は感慨深いものがあった。
内田にアドバイスを受けたというFW櫻川ソロモンはこう語る。
「あれだけ経験と実績のある選手から言われると、身が引き締まったというかビシッと説得力がありました」
一方、影山雅永監督も「日本人の中でトップの経験をしてきた選手。いろんな競争を勝ち抜いて、何年にもわたって世界のトップで活躍しているのは言葉の重みが違う」と相乗効果を期待した。