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内田篤人が引退を告げ、盟友・遠藤康が引き留めた最後の“さしメシ”「せっかくならデザート頼もうよ」
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byAFLO
posted2020/09/16 11:50
内田は2006年に、遠藤は2007年に加入。紅白戦ではマッチアップする機会も多かった。
「うっちーの引退はどうでもいい」
8月20日、内田が14年半におよぶ現役生活を終えることが発表された。ラストマッチはJ1第12節ガンバ大阪戦。その2日前、メディア向けに行ったオンライン取材で、遠藤は断言した。
「うっちーの引退はどうでもいい。勝ち点3がほしい」
内田が求めるであろう姿勢と結果。真意ではない信念の言葉が、そこにはあった。
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8月23日、カシマサッカースタジアム。
ガンバ大阪戦を1-1の引き分けで終え、試合後のピッチ上で内田の引退セレモニーが行われた。
遠藤は選手入場口から、内田の最後の勇姿を見守った。
「試合が終わって泣いたよ。泣かないかなあと思ったけど、さすがに。“まだできるじゃん、なんだよ、まだやれよ”って思いながら。今年の初め、ザーゴ監督が『うっちーを戦う体に戻す』というのを聞いていたし、うっちーからも『今年にすべてをかける』と聞いていた。自粛期間があったなか、練習試合もからんでうっちーにとってはいい時間になって、かなり動けているなと見ていた。ここからいけるぞという矢先だったから。まだいいじゃんって、まず思った。俺もいろいろと頑張るって決めたなかでの引退だったから、正直ショックだったね」
もう1年頑張ってみたら?
鹿嶋市内のレストランで注文を終えて、遠藤は内田から直接引退を告げられた。そのとき、即座に揺るぎないものを感じ取った。「うっちーの表情を見て、スッキリしていた。もう決めたんだなあって」と感じとった。
それでも「無駄な抵抗をしてみよう」と口を開いた。
「もう1年、頑張ってみたら?っていう話をしたんだけど……。(表情が)スッキリし過ぎていて無理だった(笑)」