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ロナウジーニョ半年ぶり自由の身。
ようやくの釈放、出費は1億円超? 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byAFP/AFLO

posted2020/08/31 07:00

ロナウジーニョ半年ぶり自由の身。ようやくの釈放、出費は1億円超?<Number Web> photograph by AFP/AFLO

ブラジルに帰国したロナウジーニョを待っていたのは地元メディアのフラッシュだった。

今回のトラブルで出費は1億円超か。

 今回の事件を通じて、ロナウジーニョのパブリック・イメージが著しく損なわれたのは間違いない。

 2015年9月、リオの名門フルミネンセでプレーしたのを最後に現役を引退。以後は、世界各地で行なわれるフットボールやフットサルの記念試合や各種イベントに参加し、華麗な足技でファンを楽しませる「フットボール伝道師」として第二の人生を送ってきた。

 しかし今後、イベントへの招待が減ることが予想される。そもそも当分の間、世界有数の“新型コロナ大国”となってしまったブラジルから外国へ行くこと自体が極めて困難だ。

 今回のトラブルで弁護士支払い費用、罰金、ホテル滞在費などを合わせると、日本円にして優に1億円以上の出費が発生したと推測される。現役引退後、資産がものすごいスピードで減っていると伝えられるロナウジーニョにとって、痛くないはずがない。

 母国へ帰ってからも、自身が広告塔となったデジタル通貨のねずみ講(オーナーの1人という触れ込みだった)に出資して損失を被った150人の顧客からの約3億レアル(約58億円)の損害賠償請求、かつて事実上の重婚生活を送った女性からの慰謝料請求など20を超える訴訟が列をなす。

 さらに、不動産の土地家屋税の滞納分約750万レアル(約1億4500万円)、違法建築物への罰金支払い約60万レアル(約1160万円)などの支払いも求められている。

兄アシスの判断ミスが響いた。

 個人的に近年のロナウジーニョの迷走は、彼の取り巻き連中、とりわけ兄アシスの判断ミスが響いていると考える。

 しかし、幼い頃に父親を亡くしたロナウジーニョがプロ選手として一家を支え、親代わりとなってくれた兄に全面的に頼り、兄が命じるままのキャリアを歩んで世界のスーパースターとなったことを考えると、これから兄と袂を分かつとは考えにくい。

 世界のフットボールに巨大なインパクトを残し、今なお多くの熱狂的なファンがいる稀代のマジシャンは、今後、どのような人生を歩むのか。これからもトラブルを起こし続け、ひいては朽ちてしまうのか――。

 世界中のファンは、彼が再びあの人懐こい笑顔を浮かべてボールを意のままに操る姿を見たいと思っているに違いないのだが……。

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