熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ロナウジーニョ半年ぶり自由の身。
ようやくの釈放、出費は1億円超?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAFP/AFLO
posted2020/08/31 07:00
ブラジルに帰国したロナウジーニョを待っていたのは地元メディアのフラッシュだった。
延々とホテル内に監禁されて。
翌7日朝、取り調べを受けるため連行されたロナウジーニョが手錠を掛けられ、目に涙を浮かべた様子をとらえた映像が公開され、世界中のファンに衝撃を与えた。
その後、留置所内で開かれたフットサル大会に参加して収賄容疑の元国家議員を手玉に取ったり、フットバレーでは元警察官の極悪コンビに敗れたりして話題となった。3月21日には、留置所で40回目の誕生日を迎えた。
4月7日、兄弟は計160万ドル(約1億7000万円)の保釈金を払って警察の留置所を脱出し、市内のホテルへ移った。しかし、引き続き行動の自由はなく、ホテル内に監禁された状態が延々と続いた。
なぜ釈放まで時間がかかったのか。
それにしても、釈放までにどうしてこれほどの時間がかかったのか。また、なぜこのような判決が下されたのか――。
パラグアイの捜査当局は、同国の偽造された身分証明書を所持、使用したこと以外にも、彼らを招聘した怪しげな女性実業家の脱税やマネーロンダリングなどの犯罪にも関与した疑いを抱いていた。
2人が持っていた偽造パスポートの本来の持ち主だったパラグアイ人女性2人、偽造に関与していたアスンシオン国際空港の出入国管理事務所の職員や元警察官ら計10数人を逮捕し、厳重な取り調べを行なった。しかし、事件解明のカギを握ると思われたロペスが国外逃亡を続けたこともあって、事件の真相究明に手間取った。
地元メディアの報道によれば半年近い捜査の結果、検察庁は「ロナウジーニョは、パスポートが偽造されたものという認識はなかった。ただしアシスは偽造された可能性を察知していた」としながらも「2人ともロペスの他の犯罪に関与していたと思われる形跡はない」という結論に達した。
それゆえ、実刑ではなく罰金刑という比較的軽い量刑に落ち着いたという。
この間、ブラジル外務省も外交ルートを通じてパラグアイ当局にしばしば情報提供を求めたとされる。しかし、両国の関係に悪影響を与えることを懸念して、具体的な介入は避けたようだ。