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ザックがコンテ監督に“自制せよ”。
EL準優勝も前途多難なインテル。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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posted2020/08/30 11:30

ザックがコンテ監督に“自制せよ”。EL準優勝も前途多難なインテル。<Number Web> photograph by Getty Images

セビージャに敗れEL準優勝に終わったインテル。コンテ監督は留任見込みであるが、果たして。

「この夏、我々は重大なミスを犯した」

 序盤は好調だった。

 新監督の下、3バックをベースにしたプレスとワイドなサッカーが機能した。ルカクは期待通りの活躍でゴールを保証し、前線のターゲットとしても機能した。戦術の要となるDFラインからの組み立てでは、ステファン・デフライが力を発揮。中盤ではイタリア代表の新鋭ニコロ・バレッラが絶対的な存在となり、小兵テクニシャンであるステーファノ・センシも精力的な運動量と華麗な技でチームに彩りを加えた。

 チームはリーグ戦でも順位を上げ、CLでも上々のパフォーマンスを展開。ところが昨年11月、CLグループリーグ第4節のボルシア・ドルトムント戦で2-3の逆転負けを喰らう。コンテ監督がクラブの問題をストレートに訴えたのは、その試合後だった。

「この夏、我々は重大なミスを犯した。コンペティティブなチームにしようと思うのなら、やっぱり戦力を整える必要がある。計画の立案にはクラブの幹部とともに私も参加した。このような状態で大丈夫と私も信用することにしたが、それが間違っていたかもしれない。戦力には限界がある。選手には何も言えない」

 コンテの言葉通り、インテルは戦力が乏しいままで、リーグ戦とCLの両立を図る厳しい日程へと挑んでいたのだ。

両サイド、中盤が明らかに薄かった。

 11人の主力が固まり、上質なサッカーを見せるようになったが、層が薄い。FWのバックアップとして獲得されたアレクシス・サンチェスのコンディションは上がらず、戦術の要となるはずの両サイドが薄い。

 そして、何よりも中盤だ。センシのように2列目から飛び出して、ドリブルやパスなど多彩な個人技でアクセントをつける選手が他にいなかった。センシが怪我で戦列を離れるとチームは大きく調子を落とし、最終的にCLグループリーグ敗退となった。

 不本意な前半戦を受け、指揮官から補強を要求されたら、クラブは可能な範囲で希望に応えなければならない。インテルの強化部門はその通り動き、監督のリクエストに沿って選手補強を進めた。

 要求されたのは両アウトサイド、FWの控え、そして中盤だ。しかし、それでもうまくいかなかった。

【次ページ】 論議を呼んだエリクセン獲得。

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アントニオ・コンテ
インテル

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