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村上宗隆、躍進の裏に筒香モデル。
20歳の4番が目指す岡本和真超え。 

text by

長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

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photograph byKYODO

posted2020/08/27 11:50

村上宗隆、躍進の裏に筒香モデル。20歳の4番が目指す岡本和真超え。<Number Web> photograph by KYODO

7月2日の広島戦でサヨナラ満塁本塁打を放ち、ガッツポーズを見せる村上。

1年目はファームで、2年目は一軍で才能を開花。

 村上が入団した一昨年、活躍を見せた昨年と小川淳司前監督に定期的にインタビューをする機会があった。

 村上のルーキーイヤーだった'18年シーズン、彼がいくら二軍で活躍しようとも、小川さんは「まだ早い」「今年はファームでじっくりと育てる」と言い続けていた。この言葉通り、村上の一軍デビューはシーズン終盤の9月16日のことだった。

 この日、村上はプロ初打席で初ホームランを打つという離れ業を見せた。

 そして、プロ2年目となる'19年シーズンは、一転して村上を一軍で使い続けた。シーズン序盤の5月12日の読売ジャイアンツ戦からは4番で起用した。

村上の持つ無限のポテンシャルを信じて。

 小川さんはその理由を「単に故障者が相次ぎ、他に選手がいなかっただけ」と振り返ったが、同時に「村上には十分に4番の実力がある」とも語っていた。

「村上を4番に据えていたのは、成績上の理由ももちろんですが、彼の成長を意識した上での起用でもあります。ただ、“オレは4番だ”という自覚を持つことは大切ですが、それで慢心したりせず、常に謙虚であってほしいという思いは持っています。

 いろいろなことを注意、指摘して小さくまとまることは避けなければならないと、僕は考えます」

 小川さんはこの年限りでユニフォームを脱いだ。チームが低迷していたこともあって、村上にはチャンスを与え続けた。

 退任にあたり、村上についてコメントを求めると、小川さんの言葉は意外にも厳しいものばかりだった。

「今年1年間、村上はフル出場をしました。ホームランも、打点もプロ2年目としては立派な成績だと思います。でも、同時に多くの課題も見つかった。それは本人がいちばん理解しているはず。

 その課題を来シーズンはどのように克服するのか? それは本人の意識、努力次第でしょう。来年、さらに飛躍できるのかどうか。それは周りのサポート以上に、本人の努力が重要になってきます」

 それは、村上の持つ無限のポテンシャルを信じているからこその言葉だった。

【次ページ】 公言した「3割、30本、100打点」達成に向けて。

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