ツバメの観察日記BACK NUMBER
村上宗隆、躍進の裏に筒香モデル。
20歳の4番が目指す岡本和真超え。
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byKYODO
posted2020/08/27 11:50
7月2日の広島戦でサヨナラ満塁本塁打を放ち、ガッツポーズを見せる村上。
公言した「3割、30本、100打点」達成に向けて。
小川前監督の後を受け、今季から高津臣吾が監督となった。その大半を二軍で過ごした'18年のルーキーイヤー、当時の二軍監督が高津だった。どんなに成績不振のときでも、球団の指定強化選手だった村上を4番に起用し続けた。
「将来的にヤクルトの4番を務める選手だから、ファームにいる時点から帝王学を叩き込むために4番で起用し続けました」
前述したように、ファームでいくら成績を残そうとも、'18年シーズンは小川一軍監督、高津二軍監督ともに、決して村上を一軍に昇格させなかった。
その際に参考にしたのは現在タンパベイ・レイズの筒香嘉智の横浜若手時代の起用法だったという。ファームでホームラン王を獲得した筒香が一軍に定着したのがプロ3年目のことだった。それまでは、じっくりとファームで鍛え上げる方法を採った。
筒香の場合は5年目で大ブレイクを果たすが、これが村上の「教育方針」の参考になった。
そして、村上はプロ2年目で早くも結果を残した。勝負の3年目、未曽有の混乱とともに迎えた'20年シーズン、村上は今季の目標として「打率3割、30本塁打、100打点」を掲げた。
「もちろん岡本さんの記録は、意識はしています」
実現すれば、巨人の若き4番・岡本和真が記録した「22歳」という最年少記録を大幅に更新することになる。村上の言葉は力強い。
「何でも一番になりたいので、もちろん岡本さんの記録は、意識はしています。チャンスはまだあるし、今しかできないことなのでそれは目標にしています」
昨年の打率を考えれば「.300」という数字は現実離れした目標のように思われた。しかし、今年の村上は誘い球をしっかりと見極め、追い込まれればコンパクトなスイングをし、首位打者争いを演じるまでの高打率を誇っている。
まさか、ここまでの急成長を遂げるとは思っていなかった。