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バイエルン、斜陽のバルサを蹂躙。
ミュラー「このインテンシティだ」 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byGetty Images

posted2020/08/17 11:50

バイエルン、斜陽のバルサを蹂躙。ミュラー「このインテンシティだ」<Number Web> photograph by Getty Images

バルサの時代が終わりつつあることを踏まえても、この日のバイエルンとミュラーが見せたクオリティは圧巻だった。

ハイプレスで奪った勝ち越し点。

 この時間帯にバルセロナがもう一度だけでもネットを揺らしていれば、その後の展開が少しは変わっていたかもしれない。しかし21分に、試合の趨勢を大きく変えるひとつのプレーによって、バイエルンが完全に息を吹き返す。

 バルセロナ陣内で一度はボールを失ったバイエルンだが、すぐに囲い込んでセルジュ・ニャブリが奪い返すと、そのままドリブルで持ち運び、左に抜け出したペリシッチへラストパスを送る。

 するとこの31歳のクロアチア代表は左足に持ち替えて、角度のないところから強烈な一撃でDFとGKの足を打ち破ってゴール。アシストとシュートも見事ながら、瞬時のトランジションと規律あるハイプレスから奪った勝ち越し点は、やや浮き足立っていたようなバイエルンに自らの強みを思い出させたはずだ。

 勢いに乗るバイエルンはその6分後に、大胆な中央の崩しも披露する。7年前にバルセロナからバイエルンに移ったチアゴ・アルカンタラがノールックの鋭い縦パスを入れると、レオン・ゴレツカがワンタッチで浮き玉にして前方へ。その刹那に駆け出したニャブリがクレマン・ラングレに走り勝ち、ダイレクトのハーフボレーでGKマルク・アンドレ・テア・シュテゲンを破った。

規律の徹底、硬軟織り交ぜた攻撃。

 30分の時点で、両チームともに5度以上の決定機を迎える白熱の大一番はしかし、ここから一方的な展開に推移していく。

 31分、右サイドのヨシュア・キミッヒからの高速の低クロスに、ラングレの背後から急に前に入ったミュラーが合わせて3点差。クラブ史上CL最多出場記録を塗り替えた25番はこの日、シュートとゴールの数が同じだった──つまり100%の決定率だ。

 ハーフタイム時のスコアは1-4。事実上、これで勝負はついた。規律とシンクロニシティが徹底されたプレス、硬軟織り交ぜた攻撃、適材適所に配された超一流の才能。後半もバイエルンが、怯えてしまったようなバルセロナを凌駕していく。

【次ページ】 コウチーニョもとどめの2ゴール。

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