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吉田沙保里を追い詰めた村田夏南子。
次はUFCで日本人初の世界王者へ。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySachiko Hotaka
posted2020/08/15 20:00
MMAの試合でも、その巧みなタックルと寝技での妙技が光る村田夏南子。戦い方のコンセプトは“レスリングMMA”だ。
「夏南子との戦い、忘れる事はありません!」
この村田の呟きに吉田沙保里が即座に反応した。
「夏南子との戦い、忘れる事はありません! ライバルという存在は本当に自分を強くしてくれます。同じ時代で戦えた事嬉しく思うよ! ありがとう」
吉田のメッセージに対し、さらに村田が反応する。
「オリンピックで闘うさおりさんを観てレスリング始めて、さおりさんがいなかったら今のわたしはないです! ありがとうございます!!! こういう道もあるんだとみんなに行動で示していきたいと思います!」
“レスリングMMA”というコンセプト。
MMAでも、吉田と渡り合ったレスリング力は大きな武器になっている。
「やっぱり格闘技は相手を倒して上をとるような展開が理想。だからこそ相手を倒せるテクニックを持ち合わせ、相手から組まれても安心できる部分があることは結構大きい」
飛躍のキーワードは“レスリングMMA”。
米国に、レスリングで五輪金メダリストになった後にUFCでも王者になったヘンリー・セフードを指導したコーチがいるという話を聞きつけ、2018年に米国オークランドにあるコンバット・スポーツ・アカデミーのキリアナン・フィッツギブンスコーチの門を叩く。
「それまで私は試合でパンチを使ったことはあったけど、蹴りを出したことは全くといっていいほどなかった」
専門はムエタイというキリアナンコーチの指導を受けて臨んだInvictaのデビュー戦。村田は試合中蹴りを出そうと思うたびに「どうやって蹴れば、いいんだろう」と戸惑いを覚えた。
「これだったら、蹴らない方がましだとも思いました。それでいきなり組みに行く試合展開になってしまった」