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吉田沙保里を追い詰めた村田夏南子。
次はUFCで日本人初の世界王者へ。
posted2020/08/15 20:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Sachiko Hotaka
アメリカでの生活では必須であるはずの国際運転免許は持っていない。2018年末まではクレジットカードもなく、カード社会の中で現金だけで生活していた。全く破天荒な格闘家である。その格闘家──村田夏南子は「カードは日本で作りました」と打ち明ける。
「最初は『学生でも入れる』というカードを申し込んだら審査に落ちてしまったのでショックでしたね(苦笑)。いまではアメリカで作ったデビットカードも持っています」
先日、村田は世界最大のMMA(総合格闘技)プロモーション『UFC』と契約を結んだことを発表した。日本の『RIZIN』所属の選手として、UFCファイターになるのは初めてのケースだ。
まずはInvicta FC世界ストロー級王座に。
MMAの世界ではUFCファイターという肩書きだけでも、周囲から羨望の眼差しを向けられる。サッカーでいうと、チャンピオンズリーグでプレイするようなものか。
そういえば、MMAに転向しRIZINに参戦していた時から村田は「目標はUFCのチャンピオン」とハッキリ口にしていた。
契約は今年3月。発表が遅れたのは新型コロナウイルスの影響で、UFCが活動を休止していたことと無関係ではない。
昨年11月1日(日本時間2日)には米国カンザスシティで開催された『InvictaFC38』でエミリー・ドゥコッティ(米国)とのInvicta FC世界ストロー級(-52.2kg以下)王座決定戦に臨んだ。
結果は2-1で村田が勝利。
同プロモーションでは浜崎朱加に続き、2人目の日本人王者となった。この時点でUFCと契約できると思ったのかと聞くと、村田は首を横に振った。
「その前、昨年6月のInvictaの試合で勝利を収めた時点で、UFCからオファーがあったと聞きました。でも、私はInvictaでチャンピオンになってから行った方がいいと思ったんですよ」
筆者は村田が高校時代から取材しているが、当時からとらえどころのない“不思議ちゃん”系に映る時も多々あったが、実際には階段を着実に一歩ずつ登っていくタイプなのか。