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吉田沙保里を追い詰めた村田夏南子。
次はUFCで日本人初の世界王者へ。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySachiko Hotaka

posted2020/08/15 20:00

吉田沙保里を追い詰めた村田夏南子。次はUFCで日本人初の世界王者へ。<Number Web> photograph by Sachiko Hotaka

MMAの試合でも、その巧みなタックルと寝技での妙技が光る村田夏南子。戦い方のコンセプトは“レスリングMMA”だ。

コロナ禍にあっても練習はずっと続けていた。

 エミリー戦後一時帰国した時には年が明けたら米国でトレーニングキャンプを張ろうと計画していたが、新型コロナウイルスの影響で全ての青写真は崩れた。日本から米国に戻れなくなってしまったのだ。

 日本のジムも閉鎖され、いつもと同じ練習はできなくなったが、村田はマイペースを貫いた。

「近所の公園で自主練のような形でやっていました。自主練だと飽きないかって? レスリングの選手って、試合が決まっていなくてもずっと練習を続けるじゃないですか。そういうところはレスラーのままですね」

吉田沙保里をラスト13秒まで追い詰めたが……。

 かつて村田は“吉田沙保里のライバル”として脚光を浴びていた。2012年のロンドン・オリンピック後に開催された全日本選手権女子55kg級では見事優勝を果たしている。同選手権で吉田は欠場していたとはいえ、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでオリンピック4連覇を目指していた吉田と日本代表の座を争う次世代のホープとして、村田は大いに期待されていたのである。

 2013年6月に行われた国内では全日本選手権と並ぶ二大大会のひとつ全日本選抜選手権55kg級決勝で村田は吉田と激突。ラスト13秒まで村田はリードしていたが、その直後に逆転され、結局6-5の僅差で敗れた一戦が記憶に残る。

 同年12月の全日本選手権では準決勝で敗れたため、吉田との一戦は実現していない。2014年からは階級を上げたので、結局この一戦がvs.吉田のラストマッチとなった。

 MMAに転向しても、村田の胸中からレスリングが離れることはない。

 昨年12月には、SNSでこんなメッセージを発信した。

「4年前も8年前も悔しい思いをした。東京五輪は挑戦することなく終わってしまいました。オリンピックってすごい特別なところだけど、世界は広いと感じています」

【次ページ】 「夏南子との戦い、忘れる事はありません!」

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