野ボール横丁BACK NUMBER
早見和真は今も甲子園の夢を見る。
「たぶん高校野球を恨んでいた」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph bySports Graphic Number
posted2020/08/14 11:00
早見和真さん(右)と中村計さん。高校野球の魔力に惹かれ、遠ざけた時期を持つ2人が、それでも高校野球と向き合う理由を語り合った。
原稿用紙1300枚分の不満、恨み、憧れ。
――すぐに書いてみようと思ったわけですか。
早見「人生のラストチャンスだと思いました」
――すんなり書き進められるものですか。
早見「不思議なんですけど、あのときほど自信をみなぎらせて書いたことはなかったですね。だから今、恥ずかしくて読めないのかもしれません」
――どれぐらいの時間をかけて書き上げたのですか。
早見「すごくかかりました。ほぼ、その原稿しか書いていないのに2年半くらい。最終的に原稿用紙480枚くらいで世に出たのですが、初稿は1300枚ほどありました。高校野球に対する不満、恨み、憧れを全部、吐き出したので。初稿を書き終えてから削るのにさらに2年くらいかかってるんじゃないかな」
――自分でそれだけ削るとは……。想像を絶する作業ですね。
早見「でも、あの作業が小説家としての足腰を鍛えてくれたような気はしています」
(【2/3】甲子園がないことは本当に不幸か。早見和真「高校生はバカじゃない」 を読む)
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あいつら、普段はパッパラパーだけど、野球だけは本気だったから。(女子マネ) 2018年夏の甲子園。エース吉田輝星を擁して準優勝、一大フィーバーを巻き起こした秋田代表・金足農業は、何から何まで「ありえない」チームだった。きかねぇ(気性が荒い)ナインの素顔を生き生きと描き出す、涙と笑いの傑作ノンフィクション。
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