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全米プロ王者はコリン・モリカワ。
飛距離は100位以下、武器は頭脳。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2020/08/11 11:30
コリン・モリカワは名前からわかる通り日系アメリカ人で、細身な見た目の通りの技巧系である。
巡ってきたチャンスにぴったりイーグル。
天から巡ってきたチャンス。だからこそモリカワは、短いパー4の16番で1オン狙いの攻めに出ることができた。
無理矢理攻めることと、巡ってきたチャンスを生かすことは、気持ちの上では、まったく意味が異なる。勝機を失いかけて蘇ったモリカワは、握ったドライバーを冷静に振り、ピン下2メートルのベスト・ポジションを見事に捉え、イーグル奪取。一気に通算13アンダーとして混戦を抜け出し、それが勝利の決め手となった。
「勝つべくして勝った気がしている」
プロ入りから、わずか28試合目。実にスピーディーに達成されたメジャー初優勝。モリカワは、感極まることも、うれし涙を流すこともなく、笑顔を輝かせながら、勝利の喜びをこう語った。
「とても興奮を覚えている。でも、勝つべくして勝った気がしている」
その言葉が決して高飛車にも嫌味にも感じられなかったのは、モリカワの戦いぶりが、まさに勝つべくして勝つゴルフだったからだ。
素早く切り替え、立ち直るメンタリティ。チャンスを生かしてモノにする執拗さと賢明なマネジメント。正確なショット、そして沈め続けたパット。
そう、モリカワは勝つべくして勝ったのだ。そして、新たなチャンピオンの誕生は、パワーではなく頭脳で勝負するゴルフの然るべき未来を大きく開いてくれたのではないだろうか。