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全米プロ王者はコリン・モリカワ。
飛距離は100位以下、武器は頭脳。
posted2020/08/11 11:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
今季最初のメジャー大会、全米プロが幕を閉じた。
タイガー・ウッズのメジャー16勝目はならず、ブルックス・ケプカの大会3連覇もならず、世界ナンバー1の王者ジャスティン・トーマスの大会2勝目も、ジョーダン・スピースの生涯グランドスラムも、はたまた松山英樹による日本人男子初のメジャー制覇もならなかった。
大会開幕前は、筋肉を増強して体重を30ポンドも増やし、360ヤードも370ヤードも飛ばすようになったブラインソン・デシャンボーのパワフルなゴルフが取り沙汰され、そのデシャンボーと何かにつけて論争や対立を繰り返しているケプカとのパワー対決が大いに注目されていた。
しかし、全米プロを制したのは小柄なショートヒッターのコリン・モリカワだった。
柔よく剛を制す――そんなフレーズが思い浮かび、飛距離とパワーばかりが論じられていた開幕前の喧騒が滑稽にさえ感じられる。
ゴルフは飛距離ではない。そんなゴルフの真髄を地で行ったモリカワの勝利に、小気味良さや親しみを覚えたゴルファーは決して少なくなかったはずである。
超エリート街道を爆走中。
米カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれ育ち、サンフランシスコ郊外のカリフォルニア大学バークレー校へ進学。ジュニア時代から数々のタイトルを獲得し、大学時代はオールアメリカンに3度も選ばれ、世界アマチュア・ランキングで1位にも輝いたモリカワは、大学卒業後の2019年にプロ転向。
米ツアー正式メンバーの資格を得るため、スポンサー推薦とマンデー予選に頼って挑んでいた昨季、プロ入りわずか8試合目のバラクーダ選手権で早々に初優勝を挙げ、ツアー2年目の今季、プロ入り24試合目のワークデー・チャリティ・オープンで早くも通算2勝目を挙げたばかりだった。