野球のぼせもんBACK NUMBER
陽性判定から試合可否の決定まで。
奮闘のホークス球団、緊張の舞台裏。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/08/06 08:00
試合の中止を告知するPayPayドームの張り紙。突然の事態に多くのファンが混乱した。
開幕後、初となる試合中止。
そんな中、ホークス球団の対応は素早かった。
1日夜に長谷川の感染と共に、2日にPayPayドームで行われる予定だったライオンズ戦の中止も発表したのだ。
ファーム調整中の長谷川は一軍の首脳陣や選手、スタッフらと直接の接点は認められなかったが、ファーム施設内には球団寮があり、寮生などファーム施設を利用する一軍選手やスタッフへの感染の可能性を否定できないと判断したため、ホークスの三笠杉彦ゼネラルマネージャー(GM)は「NPBに報告をして、試合実施について専門家の地域アドバイザーの意見を聞いた上で決断をした」と説明した。
プロ野球界としては6月19日の公式戦開幕後、選手感染も新型コロナによる試合中止も初めての事例となった。
そして、1日夜から翌日にかけて一軍、二軍、三軍、リハビリ組すべての選手、首脳陣、チームスタッフら約200名のPCR検査を実施。球団は当初、「一軍の選手については3日の仙台への移動の前に検査結果が判明する予定。陰性であることを確認して移動をする」としていた。
「緊急会見」にファンがざわつく。
しかし、これが思うようにいかず、混乱を招く結果となった。ホークスにとって激動の1日となった8月3日の動きを振り返りたい。
現在、福岡から仙台への飛行機は新型コロナウイルスの影響で減便されているため17時ちょうどが最終便となるが、まずもってそれ以前に結果発表の連絡が来なかった。
18時17分、球団からメディア向けの広報連絡で「三笠GMオンライン会見のお知らせ」の題名でメールが届く。「一軍PCR検査結果について。19:00開始予定としますが、時間は前後することがあります」と記載されているだけで詳細は不明だった。
18時台後半、福岡のテレビ局のローカルニュース枠で「速報」が流れ、19時から「緊急」会見実施の旨が伝えられた。
詳細内容の分からない「緊急会見」が実施される――ファンは夕方には一報が入ると待っていたが、まさかの文言で報道されたことで一気にざわつき始めた。SNSにはネガティブな言葉や、無事を祈る必死な願いが添えられていた。