野球のぼせもんBACK NUMBER
陽性判定から試合可否の決定まで。
奮闘のホークス球団、緊張の舞台裏。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/08/06 08:00
試合の中止を告知するPayPayドームの張り紙。突然の事態に多くのファンが混乱した。
19時前後のはずが20時をすぎても……
19時過ぎになっても会見が始まらない。ファンはメディアが発信した情報だけが頼りになる。何をしようにもソワソワして手がつかない。ほとんどの人が数分おきにスマホを確認していたのだろう。SNSで「ホークス 会見」と検索をかけると、驚くほど多数の書き込みが見つかった。
読んでいるうちに新規書き込みが次々と更新されていく。気づけば、20時。「19時前後」のアナウンスで1時間も遅れることは普段あり得ない。報道陣もファンと似た心境になっていた。
その後20時26分、球団広報から「発表内容の調整に時間を要するため、開始時間を未定として改めてご連絡します」と通達が入る。
やれやれと思ったが、球団としても初めての事態だ。ある程度は仕方ないし「待つ」のは我々メディアにとっては仕事の1つだ。しかし、真綿で首を絞められるような時間がまだ続くのは、ファンにとっては気の毒だった。
すべての予測は難しかった。
21時45分、改めて会見開始時間のアナウンス。
22時、予定よりも3時間遅れてついに会見が始まった。
その中で明らかになったのは、新たに1名の一軍チームスタッフが陽性判定者と確認されたことだった。
三笠GMはまず会見時間が遅れたことについて、「陽性と判定されたチームスタッフについて、まず要再検査と判定された。そのうえで再検査を行い、夕方に陽性判定が確定をした。もともとの段階で、要再検査という判定が下ることを想定しておらず、それが発表の遅れた原因の1つになりました」と話した。
重ね重ね、初めての事例だ。すべての予測が行き届かないこともある程度仕方なかったと考えてあげるのが筋なのだろう。
一方で、濃厚接触者の判定については所轄保健所の判断となるため確定は出来なかったが、球団として陽性のスタッフの就業状況を勘案し業務上で最も接触のある2名のスタッフについて自宅待機とした。
そして、一軍首脳陣や選手、その他のチームスタッフについては陰性判定を受けており、濃厚接触はなかったと判断をしたことで仙台移動を決行したという説明だった。