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コロナ禍に揺れる米で女子ゴルフ再開。
優勝逃した河本結と悩める各選手事情。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byGetty Images
posted2020/08/03 20:00
今季から本格的にツアー参加となった河本結は、4戦目で優勝争いに絡む4位に。20日からの全英女史OPにも期待がかかる。
若い選手には不出場という選択肢は難しい。
国籍問わず出場率が高いのは、ルーキーだった。
21歳のヘイリー・ムーア(米国)は「ちょうどゴルフの全てが噛み合ってきたところです」と自信をのぞかせた。
プロになったばかりの若い選手だと、活動するにしても先立つ資金がないことが多い。ムーアも例外ではなかった。2月下旬のツアーの一時中断により、米女子3部ツアーへの参戦を決めた。もし他に試合がなければ、絶対バイトをしていたと言う。
3部ツアーの賞金総額は1試合につき50~200万円程度と微々たる額だが「お金のためだけではありません。私はゴルフも試合も好きなので、プロゴルファーという自覚をもって、一打一打を大事にしました」。
今月上旬まで実戦を重ねてきたことで、戦う準備を整えた。
「この再開に向けて、ずっと調整してきたので。本来なら3月からタッグを組む予定だったキャディとやっと一緒にスタートを切ることができたので、すごく嬉しいです」
現時点では、再開2試合目の結果次第で、自身初のメジャーとなる全英女子の出場有無が決まる。ムーアはこれからキャリアを築きあげる。
人生の幅を広げる絶好のチャンスという捉え方。
ツアーが中断していた間、ムーアのようにゴルフに全力を注いだ選手もいれば、ゴルフ以外のインプットを大事にした選手もいた。
世界ランク38位のモリヤと元世界ランク1位で現18位のアリヤというジュタヌガーン姉妹(タイ)は、メンタルコーチから「10年後の自分を予想して、現状から学ぶことを考えよう」という課題を与えられた。そのコーチは宮里藍の元メンタルコーチでもある。
姉のモリヤが考えた事を教えてくれた。
「人生に確かなものはないと考えさせられました。今回のパンデミックは、世界中の人々の生活に影響を与えたと思っています。自分だけでは、処理しきれる問題ではないというか。現状では以前のようなツアーを行うことは出来ませんが、その代わりに、未来を見据えて、プロゴルファーとして成長できるよう心身ともに鍛えることに集中しています」
ジュタヌガーン姉妹は、メディテーション、射的、ムエタイなど色んなアクティビティにも母国で挑戦した。彼女たちは、ツアーには8月半ばのスコティッシュオープンから出場予定である。