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“姉妹タッグ”で試合勘キープ。
須崎が激戦の五輪切符へ再始動。

posted2020/08/02 08:30

 
“姉妹タッグ”で試合勘キープ。須崎が激戦の五輪切符へ再始動。<Number Web> photograph by AFLO

昨年12月の全日本選手権では入江ゆきと熱戦の末2-1の僅差で勝利。優勝を決めマットに突っ伏して号泣した。

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 スポーツ界の段階的な規制緩和にともない、7月2日、女子レスリングの日本代表合宿が東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で約3カ月半ぶりに始まり、8日まで行なわれた。川井梨紗子をはじめとする東京五輪代表内定選手に混じり、50kg級で来春に開催予定のアジア予選に挑む須崎優衣(早大)も参加。練習後のリモート会見で、「久しぶりに代表の選手に会えて一緒に練習できるのが楽しかった」と笑顔を浮かべた。

 活動の自粛期間中は実家に戻り、家の外を走ったり、レスリングの基礎トレーニングに没頭したり、1人でできることを見つけ出しながら体を鍛えた。「姉の仕事が休みの時は一緒に打ち込みをやってもらった」と言うように、早大レスリング部の先輩でもある4歳上の姉・麻衣さんの協力も得て、体力やレスリング勘を維持した。日本代表合宿再開時には、「体の感覚はもう戻っている」と状態の良さをアピールした。

女子最軽量級の希望の星。

 女子最軽量級の星だ。'16年リオデジャネイロ五輪女子48kg級の金メダリストである登坂絵莉が相次ぐ故障に苦しんでいた時期、'17年、'18年の世界選手権女子48kg、50kg級で連覇を達成して脚光を浴びたのが須崎だった。ところが、'18年11月に左ひじを負傷して同年12月の全日本選手権を欠場。昨年7月の世界選手権代表決定プレーオフでは、入江ゆきに敗れ、一度は東京五輪の夢がほぼ絶たれたかに思われた。しかし、「0.01%でも可能性があるなら頑張ろう」と、3日後には再びマットに上がり、厳しい練習を再開。すると、入江が世界選手権でメダルを逃してチャンスが再び巡ってきた。そして、昨年12月の全日本選手権で優勝し、夢への望みをつないだ。

 次の目標は来春に中国で開催が予定されている五輪アジア予選で2位以内に入り、東京五輪出場権を手にすることだ。

「レスリングをできない期間が長かったので、今はできることのありがたさを感じている。アジア予選に向けて、また一から頑張っていこうという気持ち。レスリングにつながる瞬発力や、速い動きをできるような筋力をつけていきたい」

 持ち前の低くて速い神タックルをさらに磨き、東京五輪に向けて最高の状態をつくっていく覚悟だ。

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