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伊調馨、登坂絵莉も優勝できず……。
レスリング東京五輪争いが熾烈すぎ。
posted2019/06/18 12:15
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
熱い、熱すぎる。
今年の「全日本選抜レスリング選手権大会」(6月13~16日、東京・駒沢体育館)は男子も女子も激闘の連続だった。それはそうだろう。五輪階級では、いよいよ来年に迫った東京オリンピックへの出場権のかかった重要な大会だったのだから。
波乱も起こった。
男子フリースタイル65kg級でぶっちぎりの優勝候補だった乙黒拓斗(山梨学院大)が決勝で樋口黎(日本体育大助手)に5-15という大差をつけられてテクニカルフォール負け。女子57kg級では決勝で川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)が昨年12月の天皇杯で辛酸を嘗めさせられている伊調馨(ALSOK)に雪辱を果たした。
世界王者の須崎優衣(早稲田大)、全日本王者の入江ゆき(自衛隊体育学校)、リオデジャネイロオリンピック48kg級金メダリストの登坂絵莉(東新住建)の三つ巴となった女子50kg級は、須崎が決勝で登坂と初対決。
試合開始早々、持ち前のスピードを活かした弾丸タックルや課題点としてあげていたテクニック──アンクルホールドでポイントを重ね、あっという間に10ポイントを獲得しテクニカルフォール勝ちを収めた。
「強い気持ち」で三つ巴を制す。
試合後、須崎は笑顔とともに大会を振り返った。
「東京オリンピックに出場するためには、この大会で何が何でも優勝しなければならなかった。なので、私が勝つんだという強い気持ちを持って試合に挑みました」
現在、国内のレスリングは年末開催の全日本選手権(天皇杯)とこの時期開催の全日本選抜選手権(明治杯)が軸となっている。両大会で優勝すれば、世界選手権代表に選出される。優勝者が異なる場合、両大会優勝者に前年度の世界選手権メダリストを加えたメンバーでプレーオフを行なう。