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チェルシーの万能FWエイブラハム。
「背番号9の呪い」を解けるのか。

posted2020/02/11 20:00

 
チェルシーの万能FWエイブラハム。「背番号9の呪い」を解けるのか。<Number Web> photograph by Getty Images

大きくて巧くて速い。エイブラハムの活躍が、チェルシーの終盤戦の趨勢を決める。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 今年1月の移籍市場で、「負け組」の1つに数えられたチェルシー。FIFAによる処分で補強を禁じられたクラブは、処分が解けた今冬も新戦力の獲得には至らなかった。

 チームを率いるフランク・ランパード監督は、スポーツ仲裁裁判所への提訴により処分半減の判定を勝ち取りながらも補強がなかった現実に対し、「トップ4争いは非常に厳しいものになる」と不満を表した。

 プレミアリーグ第25節を終えた時点で、チェルシーは4位の座を維持している。首位リバプールに32ポイント差、2位マンチェスター・シティに10ポイント差ながらも参戦できているトップ4争いは、国内メディアで「過去最低」と言われる水準でもある。

 とはいえ、3位レスターとは同節で引き分けに終わり(2-2)、差は8ポイントのまま。背後にはシェフィールド・ユナイテッドが4ポイント差まで迫ってきた。

 その中で22歳の主砲、タミー・エイブラハムにのしかかるプレッシャーが格段に高まっている。

FWを購入せずエイブラハムに賭ける。

 攻撃志向の若手監督の下、主力にも若手が多い過渡期のチームは不安定な守備が弱点である。25戦34失点は中位勢の数字と大差がない。先制しておきながら勝てなかったリーグ戦は、先のレスター戦で今季6試合目だ。

 となれば、なおさら得点が必要だが、リーグ13得点のエイブラハムに次ぐチーム得点王2番手は、それぞれ5得点のメイソン・マウントとクリスティアン・プリシッチという状況だ。指揮官も得点力アップにつながる補強を今冬の移籍市場で求めていた。

 ただストライカーを購入しなかったフロントの判断にも頷ける部分はある。新体制下でユース出身者の戦力化も本格的に始まったチェルシーは、異例の長期展望で今季の再出発に臨んでいるからだ。

 獲得が検討されたエディンソン・カバーニのような実力と経験の持ち主であれば、短期ソリューションとして加える手も有効だろうが、レンタルでの獲得を臨んだチェルシーに対して、商談相手のパリ・サンジェルマンは売却を希望した。今月で33歳になるアタッカーを、チーム最高レベルの年俸で迎え入れる補強が得策とは言い難い。

 それならば今季は、既存戦力でのCL出場権維持に賭ける――そんな判断も不思議ではない。

【次ページ】 ジルー、バチュアイを差し置いて。

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