炎の一筆入魂BACK NUMBER
無観客試合で意気消沈の鈴木誠也。
果たして“スーパーセイヤ”化なるか?
posted2020/06/16 11:40
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
ついに6月19日に開幕が決まったプロ野球。野球ファンには待ちに待った日になりましたが……では、その間にチームはどのように変わったのでしょう? Number Web上でプロ野球コラムを綴る手練のスポーツジャーナリストたちが、開幕で注目して欲しい見どころをピックアップ! 今回は2年ぶりペナント奪還を誓う広島東洋カープです。
さまざまな物語を見せてくれるプロ野球が6月19日に開幕する。コロナ禍でもプロ野球ファンの願いが叶い、3カ月遅れで開幕する。いつもとは違う無観客でのシーズン幕開けに、広島鈴木誠也がどこかおかしい。いや、戸惑っているように映る。
2日からの11試合の練習試合での鈴木誠の姿や表情に違和感を覚えた。
打席で打ち損じた際の表情や打ち取られたときの表情は昨季までのような“気”が感じられなかった。
相手投手に闘争本能をむき出しに向かっていく姿はまだ見られない。
公式戦ではないこともあるだろうが、無観客という環境に全神経を高められていないようにみえた。打ち取られたことに対する怒りよりも、自分自身の中にあるギャップを埋める作業に向いているのではないか。
まずは目に見えないものとの戦いを制するためか、練習試合最終戦となった6月14日ソフトバンク戦は主力選手が試合中盤に交代する中、最後までグラウンドに立ち続けた。ソフトバンク3連戦はチームでただ1人スタメンフル出場だったことも、現状打破のきっかけを探ろうとしていたことを証明しているようにみえた。
観客は「ゾーン」に入るために必要不可欠。
「楽しくないですよ」
無観客での開幕が報じられるとはっきり、そう言った。
プロ野球選手は見られてナンボ。選手によっては重圧やプレッシャーとなり得る外的要因も、鈴木誠にとっては超集中状態の「ゾーン」に入るために不可欠な要素でもあった。