流大らを抜擢したマネジメント

　サントリーではまだ出番が限られていた当時2年目のSH流大を「ポテンシャルがある」と見極め、主将に抜擢。声だけではなく、「パフォーマンスでチームに影響力を与られる選手」をリーダーに据えるのも沢木流のマネジメントの1つだ。チームが向かうべき矢印を改めて提示することで、結果を残してきた。

「コーチによってやり方はいろいろあると思うんですよ。ルールを決めて雁字搦めにするやり方もある。ただ僕はある程度の枠を作って、あとは選手やリーダーがその中でしっかりと判断できる要素を含ませたい。そのほうが、やっている選手は面白いと思うんですけどね。

　ただその中でもやっぱりレールはしっかり敷かないといけない。単に自由にするのはコーチングではないと思うし、必ずその中で守らないといけないものは出てくるから、それは絶対に守る。さきほども言ったように、チームに対する思い入れを持っていれば、絶対に守れると思うんです」

選手、コーチ人事に改革の下地。

　クラブの歴史、獲得したタイトルの数こそ違うが、くすぶったチームを建て直すという点において当時のサントリーへのアプローチは、キヤノンが置かれている現状と近しい部分があるのかもしれない。

「外国人選手とのバランスもいいし、良い素材はいっぱい揃っている。まだまだ代表を狙える庭井（祐輔／HO）、南ア代表のジェシー・クリエル（CTB）、サンウルブズを一緒に戦った（小倉）順平（SO）もまだ自分の可能性にチャレンジできるでしょう。有望な若手も入ってくるし、それに怠けている選手もいるでしょうからね（笑）。ポテンシャルは高いチームだと思いますよ」

　先日にはセブンズ日本代表WTB松井千士の獲得を発表。DFコーチにはブルーズのアシスタントコーチを務めたアリスター・ロジャースを、FWコーチには所属していたチームを離れて指導者を志す佐々木隆道を抜擢。着々と沢木改革の下地は作られている。

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