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テニスファンの平均年齢は64歳!?
セリーナのコーチ仕掛ける大改革。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2020/07/10 11:30
UTSに参加するフランスのリシャール・ガスケ選手。休憩時間にヘッドセットで30秒間のコーチングを受ける。
じわじわと進行していく高齢化。
64歳という驚きの数字は、アメリカの大手スポーツ・ビジネス誌である『スポーツ・ビジネス・ジャーナル』が2017年に掲載した記事が裏付ける。2000年、2006年、2016年のそれぞれの年におけるスポーツテレビ中継の視聴者の平均年齢を調査したもので、結果は2016年の男子テニスで61歳。2006年から10年間で5歳上がり、2000年からは10歳上がっていた。
当然ながら、このことはATPも危惧し、すでに数年前から動いている。たとえば3年前に始まった『ネクスト・ジェン・ATPファイナルズ』という21歳以下のトップによる大会は、当時ATPの会長だったクリス・カーモード氏の「テニスの未来のためには、若い世代の選手と同時に、若いファンが必要。若手が注目されなければ、若いファンもつかない」という考えから生まれたものだった。若くて魅力ある選手が力をつけてきたという成果はあったが、あいかわらずファンの高齢化はじわじわと進んでいるらしい。
女子テニスは若返ったものの。
先のデータによると、ファンの高齢化はテニスだけの傾向ではないのだが、調査対象となった24の競技で、61歳のATPよりも上だったのは男子ゴルフとフィギュアスケートの64歳、そして女子ゴルフと競馬の63歳だけだった。
おもしろいのは、たった1つ10年前から視聴者年齢が若返った競技がWTA(女子テニス)だったということ。ポジティブに考えれば、スター選手のファッションや若手のキャラクターなど若い層を惹き付ける要素があったのかもしれないが、悲観的に見れば、長年のテニスファンが女子テニスを離れて男子テニスのみ見続けているのかもしれない。ただ、若返ったといっても55歳。10年前には60歳を越えていた唯一の競技だったのだ。