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テニスファンの平均年齢は64歳!?
セリーナのコーチ仕掛ける大改革。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2020/07/10 11:30
UTSに参加するフランスのリシャール・ガスケ選手。休憩時間にヘッドセットで30秒間のコーチングを受ける。
叫んでもラケットを壊してもOK。
ムラトグルーは、試合中の違反行為に対する厳し過ぎる罰則もテニスの魅力を損なっていると指摘する。
「今のほうがテニスのレベルは明らかに上がっているにもかかわらず、(ジョン・)マッケンローや(ジミー・)コナーズの時代のほうがテニスは面白かったと言う人たちがいる。なぜか。それは今の選手たちが規則に縛られて感情を抑え、個性を表現できないからだ」
だから『UTS』では、暴言や悪態等々に対する罰則が緩い。対戦相手に対する身体的な攻撃やいきすぎた罵倒は違反だが、ただ汚い言葉をつぶやいたり叫んだりするのは問題ないし、ラケットを壊したっていい。
こうした試みから新しいファン層を獲得できたのかどうか、少なくともそのヒントは得られたのかどうか、明確な答えはすぐには出ないだろう。しかし、コロナ後のテニスのあり方を探る大胆な動きは、じわじわと世界中へ広まっていくのかもしれない。