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テニス界の異端児・コナーズが70歳に マッケンロー「僕たちはお互いが嫌いだった。でも…」全米5回優勝の“ショーマン”が見せ続けた闘志の意味
posted2022/09/02 11:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
30年前の今日、全米オープンのセンターコートは大掛かりなバースデー・パーティーの会場と化していた。主役はこの日40歳の誕生日を迎えた元王者ジミー・コナーズだった。
誕生日に合わせて、1回戦が組まれた30年前の全米
その日は水曜日で、もう2回戦がかなり消化されているにもかかわらず、コナーズの1回戦はこの9月2日のナイトセッションを待って行われた。異例にもその試合のスケジュールだけ前もって明確にメディアに知らされ、それがコナーズの誕生日に合わせた計画であることは皆すぐに理解した。
こうして1回戦最後のカードとして、そしてその日のラストマッチとしてコナーズと対戦相手のブラジルのハイメ・オンシンスが夜のセンターコートに登場。運悪く日中の試合進行が遅れたせいで、すでに時計の針は21時半近くを指していた。せっかく誕生日に合わせたのに、その日のうちに試合が終わらない可能性もある。そのリスクはオーダーを組む段階から承知していたはずだが、それでもあえてコナーズにふさわしいドラマチックなショーの舞台を用意したのはアメリカらしい。
試合前のウォーミングアップのときからコートは観客たちが歌うバースデーソングに包まれていた。その年は全仏オープン、ウィンブルドンと続けて1回戦で敗れていたコナーズだが、大会の計らいとファンの祝福に応えるように、タイムリミットまで44分を残して6-1 6-2 6-3で圧勝。すぐにコート上に特製ケーキが運び込まれた。
ファンが楽しんでくれることが最大のパーティー
こんなことは前例がなかったし、それまで21回出場していたコナーズ自身にも経験がなかった。