Overseas ReportBACK NUMBER
アメリカの高校球児から日本へ。
「最後の試合だと思って常に全力で」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2020/07/08 17:00
2019年12月に、ホットスプリングス市で行われた花巻東高校とレイクサイド高校の共同練習。野球が、言語の壁を簡単に破壊した。
「僕らは二度と一緒に野球ができないんだ」
しかし4月末のリーグ戦の最終戦予定日になっても、5月に予定されていた州大会の日程が迫っても再開の報せは届かなかった。
「ああ、もう試合はないんだ。僕らはもう二度と一緒に野球ができないんだ」
わずかな希望が打ち砕かれた。
米国じゅうの高校球児がレイクサイド高校の部員と同じように悔しさとやるせなさを抱え、涙にくれた。
レイクサイド高校は週4日、6時半から体力作りを中心とした朝練習を、午後は3時過ぎから技術練習を行っている。朝練習からかなり追い込むメニューが組まれ、ぐったりとした表情で授業に向かう部員も多い。
「練習がきつかったり、朝起きるのが大変なこともあった。でも上手くなりたかったし、大学でも野球がしたかったから。その目標のためにがんばってきた」
そう話すのは、ムードメーカーのマルドゥーン。大学からスポーツ推薦を受けるために、野球はもちろん、勉強も手を抜かずに頑張った。でもその成果を披露することも、3月中旬以降に学校に戻ることも、卒業式もないまま、彼らは高校生活を終えた。
「あれが最後になるなんて」
3月12日。
高校生活、最後の試合となったマウント・イダ校戦はホームグラウンドで行われ、多くの家族や友人が応援に駆けつけてくれた。
プリンスは「僕は練習も試合も、いつも全力を尽くすことが目標。最後の試合も持っている力を出したと思う。でも、あれが最後になるなんて思わなかった」と話す。
両親の前でホームランを放ったベイツは、「あれが最後の試合になるとは思ってもいなかったけれど、ホームランを打てて良かった」と少し笑みを浮かべ、こう続ける。
「あの試合が最後になるなんて思わなかった。最後の試合と分かっていたら何か変えたのか、変わったのか、と聞かれたら、その答えは分からない。でも、僕はチームメイトともう一度、もう一度でいいから野球がしたい」