Overseas ReportBACK NUMBER
アメリカの高校球児から日本へ。
「最後の試合だと思って常に全力で」
posted2020/07/08 17:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Ayako Oikawa
「もう一度、チームメイトとプレーがしたい」
「できることなら、もう一度チームメイトとプレーがしたい」
レイクサイド高校野球部の3年生、イーサン・ベイツは、チーム全員の言葉を代弁する。
3月11日。新型コロナウィルスの影響で、春の選抜高校野球の中止が決定したのとほぼ同じタイミングで、アメリカスポーツにも大きな異変が起こっていた。選手から感染者がでたNBAがリーグ中断を発表すると、NHLもリーグ中断。MLBは開幕延期、大学スポーツも中止になった。
当然ながら、高校スポーツでも同様の措置がとられ、レイクサイド高校の野球部も3月12日に6試合を終えた時点でリーグが中断になった。
本当に突然の出来事だった。
花巻東高校とは姉妹校。
「悔しかったし、悲しかった。チームメイトとプレーするのはこのシーズンが最後で、そのために準備をしてきたのに。試合ができないなんて信じられなかった」とベイツは振り返る。
同じ3年生のブレイディ・プリンスは「現実を受け入れられなかった。何が起きているのか、理解するのに2週間以上かかった。どうして試合ができないのか。このままシーズンが終わってしまうのか。いや、大丈夫、すぐにきっと再開される。そんなことが頭の中をグルグルしていた」と悔しそうな表情を浮かべる。
レイクサイド高校は、米国中西部アーカンソー州ホットスプリングス市の公立高校。「ホットスプリングス(Hot Springs)」という名称からも分かるようにかつては温泉街として知られていた。温泉繋がりで岩手県花巻市と姉妹都市の関係にあり、同校は花巻東高校と姉妹校でもある。