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アメリカの高校球児から日本へ。
「最後の試合だと思って常に全力で」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byAyako Oikawa

posted2020/07/08 17:00

アメリカの高校球児から日本へ。「最後の試合だと思って常に全力で」<Number Web> photograph by Ayako Oikawa

2019年12月に、ホットスプリングス市で行われた花巻東高校とレイクサイド高校の共同練習。野球が、言語の壁を簡単に破壊した。

花巻東野球部と1週間の合同練習。

 昨年12月には花巻東高校の野球部2年生(現3年生)20人が姉妹都市交流の一環でホットスプリングス市を訪れ、レイクサイド高校野球部と1週間にわたって練習をしたり、授業を受けるなど交流を行った。

 日米の野球少年たちは、言葉の壁をボール1つで乗り越えた。

 花巻東の生徒たちはレイクサイドからリーダーシップや闊達さ、パワーやバッティングを、レイクサイドの生徒たちは花巻東から野球に対する姿勢、日常生活での感謝の気持ち、守備などを学んだ。最後の日には、花巻東は甲子園出場、レイクサイドは州大会出場を誓い、再会を約束して帰路についた。

 アーカンソー州は197の高校が登録している野球激戦区。同校は近隣の8校から構成される5Aサウスリーグに所属し、彼らは3月頭から4月末までの間にリーグ戦を行い、上位4校が5Aの州大会トーナメントに進出できる仕組みで、レイクサイドは昨年19勝9敗で州大会トーナメントでファイナル8に進出した。

 今年の目標ももちろん「州大会出場」だった。

6試合でリーグが中断。

「みんな一所懸命練習していたし、チームとしてまとまって雰囲気も良かった。今年も州大会にいける自信はあった。首位で行けたと思う」と捕手のベン・マルドゥーンは力説する。

 強豪ブライアント校との初戦、ベイツが完全試合を達成し、15-0で圧勝。幸先のいいスタートを切った。その後、接戦で惜しくも破れた試合もあったが、6試合を終えて4勝2敗。

 そんな状況下でリーグは中断。生徒たちはオンラインで授業を受けながら、ハーディン監督から配られた自宅できるトレーニングメニューをこなした。

 新型コロナウィルスが沈静化したら、また野球ができる。その日のためにしっかり体作りをしよう。

 チームはZoomでのミーティングやSNSでコミュニケーションをとり、士気を落とさないように努力を続けた。

 また皆で野球ができると信じていた。

【次ページ】 「僕らは二度と一緒に野球ができないんだ」

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