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谷口彰悟、“優等生”からの脱皮。
フロンターレで模索するリーダー像。 

text by

林遼平

林遼平Ryohei Hayashi

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/05 11:50

谷口彰悟、“優等生”からの脱皮。フロンターレで模索するリーダー像。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

J1再開初戦、攻守に渡る活躍で勝利に貢献した川崎DF谷口彰悟。今季からキャプテンとしてチームを牽引する。

新システム、谷口への負担は増加。

 今季の川崎は、例年以上に“攻撃”に舵を切り、新たな戦い方を構築している。前線に人を多く配置する4-3-3にシステムを変更し、より攻撃に人数をかけられるようにハイラインを敷くなど戦術的な変化を施した。当然昨季以上にCBへの負担が増えるが、そこは長年フロンターレの最終ラインを支えてきた谷口だ。大変なのは承知の上で「歯を食いしばってやっていかないといけない」と責任を追う覚悟を明かしている。

 また、今回の中断期間に改めて考えたことがある。

 今までいつだって自分の側にあったサッカーを取り上げられ、何もできない日々が続いた。その喪失感、不安は大きなものだった。だからこそ、サッカーが日常に戻ってきた時に、これから自分が何をしなければならないのかを問うた。

 そして、そこから導き出された答えは、今の自分を超えていくことだった。

「もっと突き抜けるものがないと」

「自分の殻を破りたいという思いが強くなりました。安定という言葉はすごく大事ですけど、もっと突き抜けるものがあってもいいと思う。そういう存在になっていかなければならないという思いがあります。自分の限界を決めずにチャレンジしていこうと、中断期間を経てより強く思うようになりました。3カ月くらいできなかった時に自分なりに考えて、こういう風にやっていきたいと思えたので、そこは大事にしていきたいと思っています」

 正直に言えば、谷口は優等生過ぎるところがある。何事も高い能力で順応できるタイプではあるが、プレーは綺麗で、どこか荒々しさがない。もちろんそのパーソナリティーは魅力なのだが、日本代表の試合や海外の相手に戦う場面に目を向ければ、クールなプレースタイルは時に物足りなさを感じる。

 だからこそ、彼の口から「自分の殻を破りたい」「もっと突き抜けるものがないといけない」といった言葉が出てきたことに頼もしさを覚えた。キャプテンという立場となり、一層チームのためにしっかりしなければならない中で、自分自身のさらなる向上に目を向ける。それは谷口にとって新たなチャレンジと言えるはずだ。

【次ページ】 中村憲剛、小林悠から継いで。

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