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J1大分、堅守そのまま得点力強化。
新加入の知念慶と渡大生に期待。
posted2020/07/04 09:00
text by
柚野真也Shinya Yuno
photograph by
J.LEAGUE
J3からJ1へ“2段階昇格”を実現した片野坂知宏監督が指揮を執る5年目のシーズン。GKを含めた最終ラインから丁寧なビルドアップでボールを動かし、スキを狙ってスピードアップする“大分スタイル”は確立している。
今シーズン、新たなトレンドを発見するのは難しいかもしれないが、指揮官は「新しい戦術に取り組んでいる」と明かした。リーグ、リーグカップの開幕戦はいずれも無得点で黒星スタートとなったが、どちらの試合も相手の守備を慌てさせた場面は数知れず、逆にピンチの回数は片手で済むほど。詰めの甘さが時折見えたものの、チーム全体に悲壮感はない。
4カ月余りの中断期間で戦術浸透度は増し、幅を広げることにも挑戦した。片野坂監督は「ある程度の手応えはある」と話す。
得点力不足は新加入選手が解消?
具体的な変化は攻撃面に見出せる。今季の焦点だった得点力不足解消だが、補強した選手と既存組との融合がその解決策だ。
2桁得点が期待される新加入の知念慶は、「前線の関係はトレーニングマッチを通して良くなっている。大分の特徴であるサイド攻撃にも慣れてきた。クロスからのチャンスが多くなると思うのでワンタッチゴールを極めたい」と、周囲との連係にまずまずの手応えをつかんでいる。
1トップの知念の能力を引き出す2シャドーは定まっていない。昨年までは小塚和季、三平和司が定位置としていたが、今季は渡大生(わたり・だいき)や町田也真人、野村直輝ら実力者が加わった。片野坂監督は「コンディションやコンビネーションを見極めたい」と先発を固定せず、対戦相手との相性や連戦への負担を考慮して、毎試合入れ替える可能性を示唆している。
このポジションの適性は、左右に流れ、あるいは下がってボールを受けてラストパスを狙えるチャンスメーカー兼フィニッシャーであること。交代枠が5人となったことで前線3枚の同時替えやシステム変更を含め、貧打解消の鍵を握るポジションとなりそうだ。