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渋野日向子、モグモグも笑顔も控えめ。
開幕戦はずっと“ゴルフしている”感じ。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images/JLPGA提供
posted2020/06/29 20:30
女子ツアー開幕戦、まさかの予選落ちとなった渋野日向子。スイング改造に着手も、完成はまだ先のようだ。
ギャラリーの大歓声もなく。
バーディーの歓声、ホール間でのハイタッチ、ギャラリーがいれば、気持ちをすぐに切り替えられたかもしれない。しかし、コロナ下のトーナメントでそれは望めない。昨年、おそらく世界で一番ギャラリーの視線を浴びた彼女だったからこそ、無観客の違和感を誰よりも感じたはずだ。
アプローチは不発で、ショットの精度もイマイチ。ギャラリーの支えもない。
「このオフにやってきたことが、すべて意味のないことだったのかなと思うくらいの内容でした」
モグモグすることに気が回らないのも当然の2日間だった。
思い出した青木コーチの言葉。
今回の結果だけを見れば、アプローチへの挑戦はともかく、スイング改造の是非を問う声も出てくるかもしれない。そんなことを考えていたら、今年の初めに話を聞いた時の青木コーチの言葉を思い出した。
「新しいことに取り組むのは結構怖いことです。もちろん進化しないといけないから取り組むけれど、まだまだ渋野は体もできていない。例えば、パッティングを変えれば、それに応じてスイングにも変化が生まれてくる。そこを見ながら、ズレや変なことがあればもちろん修正を加えないといけないと思っています」
ツアー本格参戦2年目の渋野にとって、トライ&エラーは当たり前のこと。そもそも昨季のスイングだって青木コーチと出会った2017年の秋から、短期間でガラリと作り変えたもの。全英に勝ったからといってまだ完成ではないのだろう。
来年から参戦を目指していた米女子ツアーは、今季の出場資格を'21年まで維持することを決め、来季の出場権を決めるQシリーズ(予選会)も中止となった。渋野の来季参戦は不透明な状況で、東京五輪も延期になった。今こそ時間はある。次のトーナメントまでだって1カ月以上時間があるのだ。
悔しさを糧に。バウンスバックしてこそ渋野日向子だ。