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J再開!千葉vs.大宮の現地取材詳報。
非日常の迫力と音、喝采なき初得点。
posted2020/06/28 09:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Tsutomu Takasu
Jリーグのある日常が戻ってきた。コロナ禍の影響で中断すること約4カ月。7月4日の再開を待つJ1よりひと足早く、J2、J3リーグが6月27日にリスタートした。
ファン・サポーターのいないがらんとしたフクダ電子アリーナに、ウォーミングアップを終えた選手たちが静かに姿を見せる。入場の演出もなければ、先発イレブンが並んで撮影する集合写真もない。試合前にはセンターサークルに集まったジェフユナイテッド千葉と大宮アルディージャの選手たちから、新型コロナウイルスと戦う医療従事者へエールの拍手が送られた。乾いた音はよく響く。キックオフ直前に選手たちが円陣を組み、気合を入れる声が上がると、ようやく試合が始まりそうな空気が漂ってきた。
監督、選手からは戸惑いの声も。
リモートマッチ(無観客試合)では、オーディエンスがつくり出す独特の緊張感は皆無。試合モードのスイッチは、自らで入れないといけないのだ。千葉の尹晶煥監督は、慣れない状況の難しさを口にした。
「練習試合のような雰囲気もあった。でも、それを乗り越えていかないといけない。サポーターがいるといないでは大きな差がある」
ピッチに立った千葉のGK新井章太も戸惑いを隠さなかった。
「(リモートマッチは)やりにくいですね。試合の入りから難しかった」
熱狂的なサポーターが陣取るゴール裏に最も近い位置でプレーする選手だからこそ敏感に感じ取るものもあるのだろう。それでも、会場にはファン・サポーターの声を録音した「WIN BY ALL」の応援歌が響き、視聴者がリアルタイムで歓声や拍手を送れる「リモート応援システム」も採用。スピーカーから流れる声援はピッチにも届いており、千葉の田口泰士は笑みを漏らしていた。
「(リモート応援も)ないよりはあった方がいいですね。モチベーションになりました」