マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
西武の平良海馬は石垣島の希望だ。
「ああ見えて精神年齢高いんです」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2020/06/30 08:00
高校時代に指導した末吉監督は何度も「ああ見えて」平良海馬のポテンシャルを絶賛した。沖縄野球のイメージを変える存在になるかもしれない。
高校生の時に受けておけばという後悔。
だから、あんなに何度も受けに来てくださいって言ったのに…。
含み笑いをまぶして、末吉先生がつぶやいた。
あっ、そうだった。
平良海馬、まだ石垣島の高校生だった頃、当時の末吉監督から、何度もお招きをいただいていたのを思い出した。
平良が「本島」の高校生だったら、行っていた。
私は、飛行機があまり得意ではない。
通路が2本の大型ならなんとかガマンもするが、通路1本の飛行機はドアが閉まった瞬間から、閉塞感というか、窒息感というか、息苦しさを感じてしまって、どうもいけない。
だから、那覇までは行けても、そこから中型の飛行機に乗り換えて向かう石垣島へは、どうしても躊躇してしまったのだ。
失敗したなぁ……と思う。
今、西武の中継ぎの一角として奮投する平良海馬のバックスピン抜群の快速球というか、剛速球を見るたびに、受けてみたかったなぁと大きな悔いが残る。
きっと、ホームベース手前あたりからビューンと加速するようにミットにめり込んで、伸びと重さというなかなか共存しない2つの宝物の両方を併せ持った破壊力抜群のストレートだったはずだ。
なんくるないさーだけが沖縄ではない。
「なんでも、ボールの回転数を測定してくれる機械を自分で買って、キャンプの時に、ブルペンのキャッチャーの後ろにセットして、回転数、自分で確かめていたらしいですよ。見た感じとは逆……どこまでどん欲なヤツなんでしょうね」
身体能力と運動センス、なんくるないさーと、それだけが「沖縄系」じゃない。
その上に、追求と、納得と、探求と……。
西武・平良海馬が、進化系の島んちゅのパイオニアになる。