マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
西武の平良海馬は石垣島の希望だ。
「ああ見えて精神年齢高いんです」
posted2020/06/30 08:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
「ライトからものすごい逆風が吹いているのに、引っ張って放り込んでやろう! って欲望、ひと目でわかるようなスイングしてたんで、『それはいかんやろー!』ってベンチから声をかけた次のボールを、ライトスタンド後方のネットの最上段まで持っていきましたからね、カイマは」
西武・平良海馬投手を沖縄・八重山商工で3年間指導した末吉昇一監督(現・具志川商高野球部長)。今年38歳、情熱にあふれとても勉強熱心な、今が働き盛りの指導者である。 末吉先生が新任だった浦添商高時代、当時の神谷嘉宗監督(現・美里工業高監督)のもとでコーチをつとめていた頃からのお付き合いになるから、いつの間にかもう10年を超えている。
当初は野手向きかと思っていた。
「正直言って、高校からピッチャーでプロに行くとは、最初は夢にも思ってませんでした。逆に、野手としてのほうが将来が広がるのかな……って。タイミングが合えば130m、140m飛ばすし、ああ見えて打球に対する反応なんてすばらしく敏捷ですから。ウチは部員が少ないせいもあるんですけど、投げない日はショート守ってましたよ」
以前、末吉先生から、ある映像を見せてもらったことがある。
どん詰まりの打球がショートの前に転がるか……と思ったら、投手・平良海馬が横っ飛びのバックハンドで拾うと、捕手へワンステップのジャンピングスロー。三塁からホームに突入する走者を刺してみせた。
桑田(真澄・元巨人)かと思った。
それが、2年生の夏の予選でのことだった。