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無観客プレミア取材詳細レポート。
選手の声は響けど会場に熱狂なし。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images

posted2020/06/29 07:00

無観客プレミア取材詳細レポート。選手の声は響けど会場に熱狂なし。<Number Web> photograph by Getty Images

試合後のインタビューもそっけない形。ウィズコロナの時代のフットボールはやはり、どこか味気ない部分もある。

“プレス飯”はなく、淋しい会場。

 通常、プレミアの中でもトッテナムの新スタジアムを含むロンドンのスタジアムでは、前菜からデザートまで申し訳ないほど充実した“プレス飯”が報道陣を待っている。だが、再開後の今季は当然ながらメディア用ラウンジは閉まったまま。

 入場後は記者席直行となるため、自席で食べる弁当の持ち込みが奨励されているわけだ。サンドイッチとバナナを持参した記者もいれば、タッパーに入れた立派な“ディナー”を持ち込んだ記者もいた。筆者の場合は、持って行くはずだったおにぎりを直前に平らげてしまったため、手弁当なしの“出勤”となった。

 金属探知器のゲートを潜って取材パスを受け取ったのは、ガラ空きのコンコース。普段のリーグ戦なら、この広々とした通路はビール片手のトッテナム・ファンでごった返しているところだが、この日は、今から30年以上前に初めてロンドンを訪れた際に経由した、深夜のモスクワの空港ロビーを思い出すほどうら淋しかった。

 スタッフが開けてくれた立ち入り禁止のドアの向こうは、記者席への短い階段。だが、両側の壁に新たにハンドサニタイザーが取り付けられ、見慣れない「アンバー・ゾーン」の表示もあった。

記者席は1試合25名が上限。

 再開後のリーグ戦会場はアクセス制限別にグリーン、アンバー、レッドの3色にゾーン分けされている。

 最も制限が厳しいレッドにはチームの控え室も含まれる。無観客試合で低下するエンターテイメント性の補足として、放映権を持つ国内外のテレビ会社が求めたロッカールームへのカメラ潜入が拒否されたのだが、その背景には監督や選手たちの感染リスクを極限まで抑えるためのレッド・ゾーンという意識扱いがある。

 記者席もソーシャル・ディスタンスを維持するため1試合25名が上限。この日は6人掛けの列に1人で座ることになった。

 NFLでも試合会場となるトッテナムの新ホームは、メインスタンドとバックスタンドにアメフト用の控え室が設置されており、プレミア再開後のリーグ戦でも、それぞれホームチームとアウェイチームの控え室として利用されている。

 そのため、両チームは別々のトンネルから入退場する。旧スタジアム時代からの入場曲(『スター・ウォーズ』の『デュエル・オブ・ザ・フェイツ(運命の闘い)』)で選手たちが登場するキックオフ前はいいが、拍手で迎える観衆がいないため、ウォームアップ時は気づいたら両チームの選手たちがピッチにいる状態だった。

【次ページ】 試合中に強まる“無観衆感”。

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