プレミアリーグの時間BACK NUMBER
無観客プレミア取材詳細レポート。
選手の声は響けど会場に熱狂なし。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/06/29 07:00
試合後のインタビューもそっけない形。ウィズコロナの時代のフットボールはやはり、どこか味気ない部分もある。
試合終了→すぐさま撤収モード。
試合終了のホイッスルが響くと、スタジアムは撤収モードへ切り替わった。
両チームの選手たちは、ピッチサイドでのヒーロー・インタビューに臨む選手を除いて、速やかに別々のトンネルへと姿を消した。記者席の我々も作業完了に必死。普段は試合後の監督会見まで30分前後待たされることなどざらだが、可能なら原稿送信は自宅からと言われている再開後は、ズームを利用したバーチャル会見を含め、試合終了から1時間でスタジアムを出なければならない。
試合自体は、両チームとも手応えを得た一戦だったはずだ。
トッテナムでは、故障明けのソンが絶好のスルーパスでケインのゴールをお膳立てした。モウリーニョが好む無失点勝利でもあった。ウェストハムも、降格回避は可能と思わせる戦いぶりを披露した。
個人的なマン・オブ・ザ・マッチは敗軍からの選出だが、パブロ・フォルナルスが決め損なった絶好の先制機を演出し、1-1に追いつく絶好機にシュートがポストに阻まれたFWジャロッド・ボーウェンになる。
やはり「ハート」が欠けて物足ず。
とはいえ、全体的には「物足りない」という印象が残った。プレミアの「心技体」に、最も熱い「ハート」が欠けていたからだ。
来季、抽選による小規模観衆になったとしても、再びホームとアウェイのサポーターがいるリーグ戦を取材するチャンスに恵まれた際には、スタンドのファンを拍手で迎えたい。チームの12人目、プレミアが本当に魅力的であるために欠かせない“VIPたち”を。