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無観客プレミア取材詳細レポート。
選手の声は響けど会場に熱狂なし。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images

posted2020/06/29 07:00

無観客プレミア取材詳細レポート。選手の声は響けど会場に熱狂なし。<Number Web> photograph by Getty Images

試合後のインタビューもそっけない形。ウィズコロナの時代のフットボールはやはり、どこか味気ない部分もある。

マイカーでの会場入りが推奨され。

 コロナ禍のイングランドで6月中の今季再開にこぎ着けたプレミアリーグと、念入りな感染リスク対策を実施して試合開催環境を整えた各クラブには頭が下がる。しかしながら、試合が始まる前から、すべてが異質のマッチ・デーだった。

 トッテナム・ホットスパー・スタジアムへの行程からして普段とは違う。住宅街にあるスタジアムが多いイングランドでは通常、車ではなく公共交通機関の利用が求められる。だが、英国政府から電車やバスの利用は極力控える指針が出されている状況下では、逆にマイカーでの会場入りを勧められている。

 筆者が住む西ロンドンからスタジアムまでは、東京で言えば「環八」のような環状線の国道を北東に走り1時間ほど。スタジアム付近での信号待ち中にマスクをつけ、夕方でも26度超えの夏日のロンドンでもマスク姿で誘導するスタッフに労いの言葉をかけながら、スタジアムの敷地内に車を停めた。

早く着いても中に入れない。

 到着は予定より早い午後6時半前。通常ならば8時15分開始の試合には丁度良い到着時刻だが、今回は、訪問者がスタジアムで過ごす時間を最低限にとどめなければならないクラブ側から、キックオフ1時間半前までは中には入れないと伝えられていた。

 筆者の他にも、まだ高い夏の夕陽を浴びながら駐車場で時間を潰している英国人記者が数名いた。ロックダウン中に髪が伸び、マスクをしていても以前は見たことのなかった髭面だとわかる顔見知りもいたが、最も驚かれて笑われたのは、年末年始に散髪のタイミングを逃した長髪をカチューシャで留めて現れた、この日本人だった。

 時間になり、スタジアム外周を歩いてメディア受付へ向かう。

 ただし本来の通用口ではなく仮設のメディア用入口。その手前で、まずは前日にオンラインで回答した問診表の写しを見せ、続いて2mのソーシャル・ディスタンスをとって並んでいる間に体温チェック。ガンタイプの体温計を持ったスタッフに「36度。オッケー」と言われて中に入ったところで手荷物検査。これはテロ対策の一環としてお馴染みだが、カバンの中に弁当を入れた記者が多かった点は従来との違いだ。

【次ページ】 “プレス飯”はなく、淋しい会場。

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