ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハム広報が見た“異質”な戦い。
迎えた開幕、今だからこそ一体感を。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/06/25 11:40
開幕戦のセレモニーに登場した日本ハム栗山監督。西武との開幕カードは2勝1敗と、昨季のパ・リーグ王者に勝ち越した。
「野球が違うんだ。全然、違う」
1つの山を越えた。開幕へ向けた練習試合が再開された頃、ある職員の方からLINEをいただいた。私は、まだ北海道に滞在していた。チームの雰囲気が良く、一体感が例年と比べて増しているように感じる、という内容だった。一軍へと再合流して選手らの空気に触れた時、合点がいった。
ビジターでの開幕3連戦を終えた。今季初勝利を挙げた2戦目の取材対応後、栗山英樹監督が漏らした。前例のない「無観客試合」を体験した感想は、抽象的ではあったが興味深かった。
「野球が違うんだ。全然、違う。こんな感じなんだなぁ、と少しだけ分かったよ」
圧倒的な応援を含めたホームアドバンテージなど「無観客試合」は、試合の形勢を左右する因子は明らかに少ない。当面、この異質な戦いは続く。
開幕延期からこれまでの日々、その時間を強い一体感と個々の力へと転化できるか――。
サポートしてくれた周囲への感謝、球場へと足を運ぶことができないファンの方々の思いを背負うことができるか――。
「見えない」ウイルスと格闘し、「見えない」パワーを培うことができたと信じたい。
北海道日本ハムファイターズのシーズン序盤のポイント、「無観客試合」の命綱になるはずである。勇んで、体を弾ませてグラウンドへ立つことができるようになった選手たちを見て、私を含めてスタッフたちは夢を託す。