ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハム広報が見た“異質”な戦い。
迎えた開幕、今だからこそ一体感を。
posted2020/06/25 11:40
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Hideki Sugiyama
野球が動き出した。
6月19日に開幕を迎えることができたプロ、練習試合を再開した高校をはじめとするアマチュア。各カテゴリーのトピックが、世の中を彩るようになってきた。新型コロナウイルス関連のニュースの量が減少してきた。
平時を取り戻しつつあることを実感できる、幸せな反比例に心は躍る。
北海道日本ハムファイターズは、ビジターとして埼玉西武ライオンズとの3連戦で2020年をスタートした。
「無観客試合」である。練習試合では経験しているが、真剣勝負の公式戦では初めての体験になる。
晴れの日。メットライフドームは、閑散としていた。両球団の関係者、他球団のスコアラーら球界関係者、人数制限が設定された中、立ち入りを許された通常時より少数のメディア。マスクは義務付けで、フェースガードを着用している人もいる。両球団の限られたスタッフ以外、試合前のグラウンドへ立ち入ることもできなかった。
その光景を目の当たりにすると、プロ野球が平時へと戻るには、まだ時間を要することを認識できた。観客の姿を見ることができないが、見えないウイルスの恐怖との闘いが続いていることは、視認できたのである。
長期遠征の日ハム、徹底した対策。
内情も、同じである。ファイターズは長期の自主練習期間等を経て5月26日、チーム練習を再開した。ファイターズ鎌ケ谷スタジアムで再始動。約1週間、チーム練習で調整し、練習試合を12試合消化して今シーズンへと突入した。
選手らを含むチームスタッフは2月のキャンプ期間と同等の長期遠征と今、向き合っている。北海道、本拠地・札幌ドームでの開幕戦が6月30日。約1カ月間、ホテルを転々としながら生活しているのである。
広報としてチームへと合流したのが、6月9日だった。そこまで同行してバトンタッチした広報と情報共有していたが、別世界だった。滞在先のホテルの各所には、消毒液が配備されていた。エレベーター内、チーム関係者が宿泊するフロアの通路など、いたるところに霧吹き式のボトルがある。客室内のテレビのリモコンには取り替え式のビニールのカバーがされていた。球団外部との接点という接点に、対策が打ってあった。