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ブラジル代表監督、独占インタビュー。
チッチ「ブラジルは常に革新されねば」

posted2020/06/15 11:40

 
ブラジル代表監督、独占インタビュー。チッチ「ブラジルは常に革新されねば」<Number Web> photograph by Yann Le Duc/L'Equipe

炎のように情熱的な性格というチッチ代表監督。身振り手振りで選手を鼓舞し、素晴らしいチームを作り上げた。

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パトリック・ウルビニ

パトリック・ウルビニPatrick Urbini

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Yann Le Duc/L'Equipe

 チッチ・ブラジル代表監督には忘れられない思い出がある。2017年11月10日、日本がブラジルとリール(フランス)で対戦した後の記者会見でのことだ。司会を務めたプレスオフィサーがブラジル人記者とヨーロッパ人記者の質問だけで会見を終了しようとしたとき、チッチが「日本人記者が手を挙げているだろう」と、筆者(田村)の質問に自ら率先して答えてくれたのだった。また試合前日の会見では、隣りで辛辣な質問を集中的に受けたネイマールをかばう発言をして、感極まったネイマールが涙を流すシーンもあった。信義に厚い人物。理性と感性のバランスがよく取れている人物というのが筆者のチッチ評であり、おそらくそう外れてはいないだろうと思う。

 そのチッチが、『フランス・フットボール』誌のインタビューに応じた。場所はパリ郊外のレキップ本社。聞き手はパトリック・ウルビニ記者。インタビューの内容は、ほぼ余すところなく同誌3月31日発売号に掲載されている。言葉から伝わってくるのは、チッチの誠実さと思慮深さである。

 彼の言葉に耳を傾けよう。

監修:田村修一

ブラジルサッカーに君臨する3つのチーム。

 今はブラジル代表も、世界の他の代表と同様に活動を停止している。だが、その直前、2月にパリに立ち寄った監督のチッチは、『フランス・フットボール』誌のロングインタビューに応じた。チームについて、プレーの理念や目標について、さらにはブラジルのような国で代表監督を務める難しさについて……。チッチが語った。

――ブラジル代表監督として生きるのは、その歴史の重さや過大な想像、輝かしい経歴とともに生きることでもあります。世論とメディアからの想像を絶するプレッシャーを受けながら、すべての試合で素晴らしいパフォーマンスを発揮して勝つことを義務づけられている。ほとんど達成が不可能であるように見えますが……。

「不可能かと言えばそうではない。愛情と情熱をもってこの仕事に携われば、どんな困難であろうと克服するのは難しくない(微笑)。

 ただ、1958年と'62年、'70年という3つのチーム(ともにWC優勝)、3つの類まれな世代が大いなる遺産とプレースタイルの伝統を残した。彼ら以前と以降でブラジルは分けられる。監督への注目度は高まり、歴代監督は誰もが同じチャレンジ・同じ目標に立ち向かうことを求められた。私もまた自分に出来る以上の成果をあげようとトライしている」

【次ページ】 試合の前に、膨大な準備期間を要する仕事。

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