プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア中断期間ベスト11を選定。
お笑いミルナー、ミーの男気って?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/06/09 11:30
コロナ禍でまさかのお笑いセンスを発揮したミルナー。再開後はぜひリバプールでの雄姿を期待したい。
男前なヘンダーソンとノーブル。
中盤中央には、ジョーダン・ヘンダーソンとマーク・ノーブルを選びたい。リバプールとウェストハムでキャプテンマークを付ける2人には、それぞれ今回のベストイレブンの正副キャプテンを任せたい。
ヘンダーソンは、4月上旬に基金設立が発表された“Players Together”のリーダー格。そして、大半が庶民としての背景を持つ選手の代表格だ。
基本無料のNHS(国民保健サービス)が、この国の人々にとってどれだけ重要であるかを知る彼が、他チームのキャプテンたちに声を掛け、選手主導のNHS支援活動が生まれた。個人レベルで手を差し伸べることにも余念がない。例えば、スポンサーとのタイアップでサポーターとのビデオ通話も実現した。
立て続けに母親、そしてリバプール戦に通う盟友でもあった父親さえも亡くしてロックダウンを迎えたシーズンチケット保持者の男性は、ヒーローからのサプライズ・コールに「人生最良の日だ」と言って涙を浮かべた。ネットで見た筆者も、年とともに涙腺の緩む目元がウルウル……。サッカーのない日常でも、サッカーの魅力的な一面を目撃できた。
ノーブルはウェストハムのホームスタジアムから車で10分ほどのカニング・タウンで生まれ、ユースから上り詰めてきた生え抜きだ。その行動は、赤紫と水色のユニフォームを着る機会のない間も地元への愛情に溢れていた。
ロンドンの『イブニング・スタンダード』紙におけるコラム原稿料の1シーズン分を寄付した先は、クラブのお膝元である東ロンドンのフードバンク。続いて、やはり前述の“Players Together”とは別枠の寄付金3万5000ポンド(470万円強)も、州境がロンドン東部と接するエセックス州の町で、住民にはウェストハム・サポーターも多いバジルドンの高齢者や貧困者に、食料や医療を提供するための資金として差し出された。
プリシッチはリフティング動画で……。
アウトサイドの1人は、チェルシーのクリスティアン・プリシッチだ。
ネガティブになっても不思議ではない時期に、至って前向きだった。プレミア1年目は外転筋の怪我で戦線離脱したまま中断期に突入。シーズンが予定通りに進行していれば、後半戦の大半を棒に振って「失敗」と言われているところだった。
だが、最低2mのソーシャル・ディスタンスが不要だった今季前半、ミックスゾーンで「史上最も高価なアメリカ人」と言われても「アザールの後釜」と見られても、まったく動じていないと思わせた神経の太さは本物のようだ。
自宅の庭でリフティング中に回し技でコケた動画をSNSで公開して、自らを笑う余裕を披露。フランク・ランパード監督の愛弟子とも言えるメイソン・マウントとポジションが重なる「トップ下希望」を公言する気概も見せた。