プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア中断期間ベスト11を選定。
お笑いミルナー、ミーの男気って?
posted2020/06/09 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
6月17日からの今季プレミアリーグ再開が決まった。厳密には、新型コロナウイルスの感染に第二波到来の兆候がなければの話である。
感染症による死亡者数が3万人を超えるなか、6月1日から学校も再開されているイングランドでは、15日からショップやデパートの営業再開も見込まれるなど、感染リスクの上昇が危惧されている。
とはいえプレミア再開日が発表された5月28日、ガリー・リネカーが母国開催だったEURO1996でのイングランド代表アンセムのサビにあやかって、“Football's coming home!”ではなく、“Football's coming back!”とツイートしたように、サッカーのある日常が戻ってくる現実味は格段に増した。
そこで今回、サッカーのない日々にも株を上げたベストイレブンを選ぶことで、今後も感染リスクを承知の上でピッチに戻って来てくれる選手たちへの感謝と敬意を表したい。システムはEURO1996でオランダに大勝(4-1)した一戦でも採用された4-4-2とする。
前線はラッシュフォード&ディーニー。
2トップの1枠はマーカス・ラッシュフォードだ。
マンチェスター・ユナイテッドの22歳は、自らの力で募った寄付金の額では、ロックダウン中のプレミア得点王と呼べる。学校給食や余剰食品の配給に頼る子供たちに食事が提供され続けるようにSNSで協力を呼び掛け、慈善団体『フェアシェア』を通じて集めた寄付金は、今や目標額10万ポンド(約1350万円)の2倍を超えている。
マンチェスターのハイ・シェリフ(州長官のような名誉職)から、地域への多大な貢献を認める証書を贈られたのは5月のこと。「寄付してくれた皆さんのおかげです」というSNSでの受領報告もまた、若いのに“できた”ストライカーそのものだ。
前線の相棒はベテランのトロイ・ディーニー。
ワトフォードの頼れるターゲットマンは、敢えて発言する姿勢が頼もしかった。感染の不安から5月中のチーム練習開始に主将として反対意見を唱え、自らは19日に始まった第1段階から不参加を決めた。彼と同様の不安を抱えていた選手は多かったはずだ。
特に、感染率と死亡率が高い彼と同じ非白人系の選手たちは「観客にとってリスクのあるスタジアムが、どうして選手には安全なのか?」「7月までは散髪にも行けないのに、19人が密集するゴール前でヘディングを競ってもいいのか?」といったディーニー発言のすべてに頷けただろう。
そんな彼らの代弁者は政府の医療責任者との話し合いで納得し、接触プレーも許される5月28日からの第2段階でチームに合流している。