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再開目前プレミア、CL争いが風雲急。
トッテナムに心強すぎる3人が復帰。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/06/11 07:00
プレミアリーグ再開に向かうソン・フンミン(左)とハリー・ケイン(右)。彼らはどんな闘いを見せてくれるだろうか。
異常事態に問われるメンタル。
さて、残留争いも熾烈を極めるだろう。現時点ではボーンマス、アストンビラ、ノリッチが降格圏でもがき苦しみ、ブライトンとワトフォードも安全圏とは言えない。また、アウェーのユナイテッド戦とトッテナム戦、ホームとはいえチェルシー戦を残すウェストハムも、最終節まで降格の恐怖に苛まれるだろう。
成否のポイントのひとつが、無観客という異常事態をどのように乗り切るか、だ。
地元サポーターの後押しがなければ地の利という表現は使えない。しかし、静かな会場で神経が研ぎ澄まされ、集中力が高まる者もいる。無観客で開催された大相撲春場所で、11勝4敗の好成績を収めた碧山はこう言った。
「雑音が一切ない環境は私に適している」
観衆の大声援を力に変えるタイプ、マイナス変換してプレッシャーに感じるタイプ、人それぞれだ。すでに再開しているブンデスリーガでもスタジアムには「ボコッ、ボコッ」とキック音が響き、ボルシア・ドルトムントのマッツ・フンメルスは「非常にやりにくい」と嘆いていた。
したがって最終盤のプレミアリーグは、例年にも増してメンタルの強さが求められるのではないだろうか。さらに、試合に登録できるメンバーが18名から20名に、交代枠も3人から5人に増えた。選手層の厚薄もシーズンの行方を大きく左右するに違いない。
日常を取り戻すべく、懸命に闘う。
いよいよ、プレミアリーグの再開が迫ってきた。
コロナ禍では従来のハイ・インテンシティを望むのは酷だが、ステイホームで後押しするサポーターのために、各クラブは最大限の努力を払ってくれるだろう。何気ない日常を取り戻すべく、彼らもまた懸命に闘う。