「まったく卓球ができませんでした」

――緊急事態宣言発令後はどのように過ごしていたのでしょうか。

「5月の中旬頃までまったく卓球ができませんでした。トレーニングもストレッチポールやストレッチマットを使って体を動かす程度で、汗をかくほどハードなトレーニングを行なったり、普段の練習のように卓球台でボールを打つことはできませんでした。打ったとしてもラケットを使った球つき程度でしたね」

――コロナ禍で競技に対する価値観や考え方などに変化や新たな気付きはありましたか。

「コロナのような社会を危機に陥れるような疫病や自然災害を前にすると、アスリートは無力というか、直接的に人の役に立つことはできないんですよね。誰かのために何かをしてあげたいと思っても、僕らは卓球をすることしかできない。

　だからこそ練習ができる状況になったらしっかりトレーニングを行なって、見ている人を驚かせるように競技力をさらに高め、コロナが落ち着いた時にみんなに元気を与えられるようなプレーをしたいという強い気持ちを抱きました」

「非公式ながら選手会のようなグループを」

――選手同士で情報を共有したり、何かできないかといったような話をする機会はあったのでしょうか。また、他の選手から相談を受けることはありましたか。

「コロナの影響でインターハイなど様々な大会が中止となり、中学3年生や高校3年生の選手たちのなかには、この1年間試合をせずに引退するケースが出てくると予想しました。

　そこで僕たちが力になりたいと、友人が発起人となり、非公式ながら選手会のようなグループを立ち上げたんです。現在は約30～40人ぐらいの選手がいて、男子ナショナルチームの選手はほぼ全員参加しています。また、（福原）愛ちゃんや平野（早矢香）さんともやりとりをしています。

　お互いに情報共有をしたり、今後僕たちがやらなければいけないこと、少しでも力になれるように、元気になるように、できることをやろうという話し合いがなされています。ツイッターやYouTubeも立ち上げ、何本か動画も投稿されていますね。僕は最近、『17 Live（イチナナ）』でライブ配信を始めたので一旦、グループからは外れていますが」

――ご自身が卓球界の先頭に立って発信していきたいというお気持ちは強いですか。

「自分で言うのもおこがましいのですが、少なからず周りに影響を与える存在だと思っていますし、自分がそういった活動を行うことによって、周りも後に続いてくれる、続いてほしいと思っています」

【次ページ】　「これはあくまでも個人的な意見ですが……」