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「今、卓球はルンルン気分です!」伊藤美誠の笑顔がはじけた…引退もよぎったパリ五輪落選からの原点回帰「自分だけのスタイルで突っ切ろうと」
posted2025/08/27 11:00
ロングインタビューに応じてくれた伊藤美誠
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph by
Wataru Sato
「今、自分の卓球に関しては、すごくルンルンな気分です(笑)」
伊藤美誠の笑顔が弾けた。
ITTFワールドカップマカオ大会ではシングルス3位、世界選手権ドーハ大会3位、USスマッシュ3位とこの数カ月、伊藤は好調を維持している。復活というより進化した印象だが、パリ五輪の夏からここまでの間に、何が起きたのだろうか——。
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4年前の東京五輪では、ミックスダブルスで金メダル、女子団体で銀メダル、女子シングルスで銅メダルを獲得し、ひとつやり切った感があった。気持ちがまだ乗らないままパリへの競争が始まったが、国際大会だけではなく、Tリーグの戦績もポイントに加えられるなど国内の選考方法が変更になる。国内、海外と遠征を続け、疲弊していく中、若手の台頭もあり、試合に勝てなくなった。
引退が頭をよぎることも
五輪で結果を残してきた伊藤にとって、パリ五輪出場を逸した衝撃は大きく、引退が頭をよぎることもあった。だが、低迷したままで終われないという気持ちから奮い立ち、中国人選手に勝ちたい、世界ランキングでトップになるという目標を定めて、再び歩き出したのが1年前の夏だった。
「昨年の夏は、完全に夏休みにしていました。自分の卓球のことはほとんど考えず、ゆっくり旅行したり、イベントや講習会に参加して各地に行ったり、いろんな方と触れ合って、一緒に卓球をしたりして、思い出作りの夏でした。パリ五輪は、タイミングが合えば見る感じで、わざわざ何かに合わせて見ることはなかったです。ただ、早田(ひな)選手の3位決定戦は、ちょうど実家に帰ったので見ていました」
パリ五輪の女子シングルス3位決定戦、早田は左腕を負傷しながらも鬼気迫る卓球で銅メダルを獲得した。


