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コロナ禍&五輪延期でどうなった?
卓球・水谷隼「まったく不安はない」
posted2020/06/08 11:40
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
JMPA
新型コロナウイルスの影響により、卓球界も他のスポーツ同様に大きな影響を受けた。
国際卓球連盟は2020年開催予定のワールド・ツアー等大会の延期や中止を発表し、日本卓球協会も9月までの各カテゴリーの全国大会中止を発表。
そして、3月下旬には東京オリンピックの2021年への延期が正式に決定した。
緊急事態宣言が解除され、競技再開を見据え、日本卓球協会は5月下旬に感染拡大防止のガイドラインを発表するなど、新たな常識も生まれつつある。コロナ禍を選手たちはどのように受け止め、そして対応しようとしていたのか。
この7月、4度目のオリンピックを迎える予定だった日本男子卓球界の第一人者、30歳のベテラン、水谷隼がインタビューで語った。
「コンディションを整えるという意味ではよかった」
――3~4月にかけて国際卓球連盟から2020年開催予定の大会の延期や中止、そしてIOCからも東京オリンピックの延期が発表されました。これらの発表をどのように受け止めたのでしょうか。
「今年に入って新型コロナウイルスが世界中で感染拡大し、3月上旬のワールド・ツアーのカタール・オープンあたりから、東京オリンピックが延期になるかもしれないという話がかなり濃厚になってきました。そういった経緯もあって、僕の場合は延期が発表される前から気持ちの準備はかなりできていましたね。
個人的なことを言えば、東京五輪の代表内定をいただいてはいましたが、昨年の東京オリンピックの選考レースは首や腰の怪我を抱え厳しい状況下で戦っていて、正直なところ、オリンピックを半年後に控え、決して良い状態とは言えませんでした。
結果的に1年延期になったのは、コンディションを整えるという意味ではよかったのかなと思っています」
――先行きが不透明な状況下で不安を感じることはありませんでしたか。
「確かにオリンピックは延期になりましたが、1年後に開催すると明言されたので気持ちはすぐに切り替えられましたね。それにコロナ禍においては、どの選手も練習も試合もできない。自分だけがそういう状況に置かれたのであれば不安を感じていたかもしれませんが、世界中のどの選手も同じ状況に追い込まれていたので、まったく不安になることはありませんでしたね。
逆にオリンピックまで1年の時間的猶予ができたことによって気持ちはリラックスできましたし、また一から体を作り直そうと前向きに考えることができています」