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恩師が語る吉田正尚の規格外な打球。
「プロはなんで獲らんかな、と」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2020/05/15 11:40

恩師が語る吉田正尚の規格外な打球。「プロはなんで獲らんかな、と」<Number Web> photograph by Kyodo News

球界屈指のスラッガーに成長した吉田。昨季は打率.322でリーグ2位、自己最多となる29本塁打をマークした。

毎日欠かさなかった“素振り”。

 吉田自身は、小学生時代、家での素振りを欠かしたことのない野球少年だった。

 身長173cmと上背はないが、鍛え上げた体をフルに使った、見ていて胸がすく豪快なスイングが吉田の代名詞だ。以前、今の吉田のベースはどのようにしてできたのかと聞いた時、「ちっちゃい頃からバットを振っていたからじゃないですか」と答えた。

「細かい技術を身につける前に、やっぱり振る体力が必要だと思います。子供の頃は、形にはこだわらずガムシャラに振っていましたね。回数は決めずに。回数を決めると、ただそれをこなすだけになってしまうので」

 加えて、父の正宏さんが庭にティー打撃用のネットを設置してくれた。そうして日々築いた土台が、豪快なスイングと打球の強さにつながっていった。

規格外だった、低く強烈な打球。

 吉田の敦賀気比高校時代の恩師である林博美・前監督が、以前、こう語っていた。

「自分が監督として見てきた中で、バッターでは吉田が一番。そらすごかったですよ。入ってきた時から、スイングが」

 吉田は1年時から4番を任され、1年夏の福井県大会では6割を超える打率を残し、敦賀気比の11年ぶりの夏の甲子園出場に貢献した。

「2、3年になると、“吉田”という名前だけで、相手が勝負してくれなくなりました」と林は語っていた。

 当時は今より細身だったが、吉田の打球のスピードと威力は規格外だった。しかも当時は金属バット。低い弾道の強烈な打球が内野手を襲い、捕り損なって鎖骨を骨折するなど、相手チームの選手が怪我をしたことが何度もあったという。

「だから、『お前、ムチャすんな。(打球を)上げろ』と言ったんですよ」と林は苦笑していた。

【次ページ】 高3でスランプも、大学で開花。

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