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<1999年の怪物と宇多田ヒカル>
松坂大輔「僕、野球が仕事だって思ってないですから」
posted2020/05/15 15:00
text by

石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Hideki Sugiyama
あれはプロ1年目のオフのことだ。
10代で7000万円という破格の年俸を手にした松坂大輔に「月に500万ものお金、どうするの」と訊いてみたことがある。すると松坂は「先月なんて2、3万しか使ってないっすよ」と可愛らしいことを言ったあと、やけに嬉しそうな顔でこう続けた。
「でも、今月はもう15万くらい使ったのかな。だって、奢りまくりですからね。みんな、僕にカネを払わせるために呼ぶんだ。いったい何が楽しくて高校の頃のヤツらとばっかりご飯、食べなくちゃいけないんですか。いつも焼き肉ですよ。『メシ食わせろ』って言われて『ファミレスでいいよな』って言うと、『何言ってんだよ、お前のときは焼き肉しかないんだよ』って」
16勝5敗――新人王はもちろん、最多勝、ゴールデングラブ賞、ベストナインまで搔っさらったプロ1年目。順風満帆にしか見えなかった松坂だったが、夏を迎えた頃、こんな想いを吐露したことがあった。
「野球は楽しいけど、人生はおもしろくない。高校の夏までは楽しかったのに、マスコミに追われるようになってから、人生、イヤになりました。ホント、こんなんだったら誰も知らない普通の高校生のほうがいいや。好きな野球をやってきてこうなったからしょうがないとは思いますけど、どこにも出掛けられないでいる今のこの時間は何なんだって、よく思います」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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