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内川聖一、坂本勇人を質問攻めに!
中川圭太の大胆行動とクレバーさ。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/05/07 11:30
ルーキーだった昨季は4試合で4番にすわった。8、9番を除く全打順と代打、DHを経験した。
変わった感覚、ライナー性の打球。
ルーキーの突然の質問にも、内川は快く答えてくれた。何度かやり取りする中で、中川はヒントを見つけた。
「右半身は(ボールに)向かって行く、左半身は戻る、その両方の力をボンッと合わせることで、強い打球がいく」というイメージだと中川は解釈した。
オフの期間は1人で自主トレを行い、その感覚を実現するためにひたすらバットを振った。
「1球1球、“今のは違う”とか“あ、これかな?”、“あ、でもこっちのほうがいいな”というふうに、いろんな感覚が出てきました」
感覚が研ぎ澄まされていき、徐々に「あ、これかな」という打球が増えていった。見た目のフォームに大きな変化はないが、中川自身の感覚は大きく変わったという。
2月のキャンプでは、「すごく力が伝わっているようなライナーの飛び方をするようになりました。あとは実戦でマッチするかどうか」と語っていた。
坂本には「逆方向」へのヒントを。
中川は今年、逆方向への安打を意識している。
「そういうバッターのほうが、たぶん相手からすれば怖いと思う。簡単に外のまっすぐは投げづらいと思うので」
そこで、3月のオープン戦では、巨人の坂本勇人のもとにも質問に行き、そこでもヒントを得た。
「坂本さんにも、ずっと学生の頃から憧れを持っていました。僕の中では結構引っ張りのイメージがあったんですが、実際には右方向にも思い通りの打球を打っている。それは僕も心がけるところなので、どういう感じで打っているのかというのを聞きたくて」
内川のアドバイスを元にオフシーズンに積み重ねてきたものと、坂本から得たヒントを取り入れた結果が、冒頭の、ライトスタンドへの「初めての打感」につながった。
内川、坂本の他にも、昨年は浅村栄斗、鈴木大地(楽天)、近藤健介(日本ハム)にも質問をしに行ったという。そうそうたるメンバーだ。
「人によって感覚は違うので、『そういう感じで打ってるんや!』みたいな発見があって、話を聞いていて面白いんです」と中川は言う。