太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
五輪延期、インターハイ中止……。
太田雄貴から全アスリートへの言葉。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byFJE/Japanese Fencing Federation
posted2020/05/02 08:30
日本代表選手が日頃やっているトレーニングを無料配信(YouTube日本協会公式アカウントから)。
競技を通じて培ってきたものを再確認しよう!
最後に、先の見えない日々の中でモヤモヤとしている方に、私から心ばかりのメッセージをお伝えしたいと思っています。
たとえば目に浮かぶのは、一生懸命に部活に打ち込んできたのに、引退を賭けた夏のインターハイが中止になってしまった、高校三年生の姿です。
自分がこれまで過ごしてきた日々は一体何だったんだろう……。
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失意を感じている人も多いと思います。
私もインターハイに成長機会をもらった1人の人間です。選手たちの気持ちは痛いほどよくわかります。
しかし今こそ、考えてみてほしいのです。
自分が競技を通じて培ってきたものは、決して試合の有無や、勝った負けたで左右されるものではないはずです。
もっと大きなものを、あなたはこれまでの日々の中で、学んだことでしょう。
今はそれを自分なりに考え、言語化することに取り組んでみてほしい、と思います。
自分の経験を誰かに伝える能力は、大人になってからも必ず、あなたの力になってくれるはずです。
実はこの力は、既に大人となってしまった私たちにとっても、とても大切なものです。
ちなみに、もし私が今、高校生であったり、現役のアスリートだとしたら何をするかといえば、私は徹底して基礎的なトレーニング(特に下半身)をするだろうと思います。より長時間戦えるための体力、ベースを鍛えておく、ということです。
今は、それぞれのベース(基礎)を強くすること。そのための時間を生きている、と思えばいい。
それぞれに、それぞれの場所で、頑張っていきましょう。
(構成・宮田文久)